2021年10月18日
Cloud Migration Assistant を使用した Jira と Bitbucket の Cloud 移行 〜前編〜大崎 健吾 Kengo Ohsaki
こんにちは。リックソフトの大崎です。
アトラシアン製品のサーバー版販売終了発表から早いもので来週で 1 年が経過します。
この 1 年間で、アトラシアン製品では Cloud の機能開発が進んでいることが当然のことながら、移行に向けたツール開発も進んでおり、今後より Cloud 移行が本格化してくる様相です。
さてその中で今回は、Bitbucket Server または Bitbucket Data Center の Bitbucket Cloud 移行について最新情報をお話したいと思います。
本エントリは、2021 年 10 月 13 日 0 時 (日本時間) 時点の公開情報を基に記述しております。今後のリリース内容によって、状況が変化する場合がありますのでご留意ください。
現時点で Jira や Confluence の Cloud への移行方法として、サイトインポートや Cloud Migration Assistant (アトラシアン開発の Cloud 移行ツール) がありますが、Bitbucket についてはリポジトリデータのみの移行がサポートされている状況です。
Bitbucket Server から Cloud への移行を計画する の「移行対象の確認」より一部引用します。
現在、Bitbucket Server から Bitbucket Cloud へのリポジトリ データ (ソース コード) の移行のみがサポートされます。ユーザー アカウント、権限構造、リポジトリのメタデータ (プル リクエスト履歴やコメントなど) を移行するためのサポートされている方法はありません。
こうした制限に対応すべく、アトラシアンでは Bitbucket Server から移行するための移行ツールである Bitbucket Cloud Migration Assistant (略称 BCMA) の開発を行っております。
その Bitbucket Cloud Migration Assistant について、つい先日 Early Access Program (EAP) が開始しましたので、今回は Bitbucket Server/Data Center と Bitbucket Cloud の違いから、Bitbucket Cloud Migration Assistant の概要、制限事項、実際に Jira Software Server と Bitbucket を連携している環境の Cloud への移行をした結果についてお話していきます。
現時点で、Bitbucket Cloud Migration Assistant は Early Access Program (EAP) の状態であり正式リリースではありません。そのため、検証や評価目的でのご使用をお願いします。
Early Access Program は、製品エキスパートからのフィードバックを期待しての機能提供であり、動作不能または不完全である場合があります。利用する場合、多くのエラーおよびバグが含まれているおそれがあることを理解した上でご利用ください。
弊社では正式リリースまで Bitbucket Cloud Migration Assistant に関してのサポートを提供しておりません。
Early Access Program の状態で移行を実施した際に生じた問題や利用者に生じた損害につきまして、弊社としては責任を負いかねますので御了承ください。
実際に Bitbucket Server または Data Center から Bitbucket Cloud へ移行する場合は、移行ツールの利用方法だけでなく、移行するデータの規模やアプリの対応状況などを検討、確認する必要があります。Bitbucket Server から Cloud への移行を計画する をご確認ください。
まず、Bitbucket Server/Data Center と Cloud では機能にいくつか違いがあり、プロジェクトやリポジトリのデータを移行するだけではなく、移行に際して前提となる情報も確認が必要です。
たとえば以下のような違いがあります。
項目
|
Server/Data Center
|
Cloud
|
---|---|---|
システム管理 | システム管理者 |
ワークスペース管理者 Bitbucket Cloud では、組織全体を "ワークスペース" という単位で考えます。 |
リポジトリ管理 | プロジェクトが異なる同じ名前のリポジトリを作成することができます。 | ワークスペース内でリポジトリ名が一意である必要があり、 プロジェクトが異なっていても同じ名前のリポジトリを作成することができません。 |
プロジェクト管理 | プロジェクト内に存在するリポジトリの権限をまとめて管理することができます。 | プロジェクト内に存在するリポジトリの権限を管理することはできず、 ワークスペース内のメンバーとの共同作業を行うという目的となっています。 |
Server/Data Center と Cloud の詳細な違いにつきましては、Bitbucket Cloud での機能の違い をご参照ください。
また Bitbucket Cloud には Free、スタンダード、プレミアムの 3 つのプランがあり、特にセキュリティの観点からどのプランへの移行が適当か確認したうえで、コストの確認も必要です。
弊社では Bitbucket Cloud Premium プランの年間払いのみ販売しております。現時点で月間プランやスタンダードプランの販売ができませんのでご了承ください。
Bitbucket Cloud Migration Assistant とは、Bitbucket Server または Bitbucket Data Center から Bitbucket Cloud へ簡単に移行するためのツールです。
ツールの機能として以下データを移行することができるように開発中です。現時点では移行できるデータに制限事項がございますのでご注意ください。
現在も正式リリースに向けて開発中で、今後のロードマップは Bitbucket Cloud Migration Assistant Roadmap のページをご確認ください。
現時点では Early Access Program の状態ですが、Download the Bitbucket Cloud Migration Assistant (英語) のページからツールの .jar ファイルをダウンロードして Bitbucket Server へインストールして試すことができます。
より詳細な情報は Bitbucket Cloud Migration Assistant (英語) のページをご確認ください。
Bitbucket Cloud Migration Assistant を使用するには、いくつか制限事項があります。
リポジトリ、Git 情報 |
すべてのリポジトリは、移行先の Cloud ワークスペース内で、プロジェクト、リポジトリの名前に一致する 新規/既存 プロジェクトに移行されます。 フォークされたリポジトリや、パーソナルリポジトリは移行されません。データの破損を防ぐため、フォークからのオープンなプルリクエストはあらかじめマージしてください。 デフォルトのレビュワー、マージチェック、Webhooks は移行されません。 |
プルリクエスト |
すべてのプルリクエストはは、タイトル、説明、ステータス、コードの diff とともに移行されます。 現時点では、プルリクエストの作成者やレビュワー、コメントなどの情報は移行されません。 |
ユーザー・グループ |
すべてのアクティブなユーザーは Bitbucket Cloud へ移行されます。 現時点では、非アクティブなユーザーは移行されません。また、ユーザーの権限やグループのメンバーシップ情報も Bitbucket Cloud Migration Assistant では移行されません。 |
プロジェクト |
プロジェクトは移行されます。 プロジェクト設定や権限は移行されません。この機能については現在 アトラシアンで取り組まれており、Bitbucket Cloud Migration Assistant Roadmap のページをご確認ください。 |
ブランチ権限 | Cloud に移行後、手動で同じ設定にする必要があります。 |
項目
|
移行される
移行されない |
備考
|
---|---|---|
プロジェクト |
移行対象のリポジトリがプロジェクトに属している場合、Bitbucket Cloud の同名のプロジェクトへ移行されます。 |
|
プロジェクト設定・権限 | 現在 Bitbucket Cloud にこれらの機能はありません。 今後機能が追加される予定です。 |
|
リポジトリ | デフォルトのレビュワー、マージチェック、Webhooks は移行されません。 | |
ブランチ | ||
ブランチパーミッション | 移行後に手動で再設定する必要があります。 | |
コミット履歴 | ||
Jira 課題のリンク | Jira 課題の開発パネルに情報が表示されます。 | |
プルリクエスト |
タイトルや説明、ステータス、diff の情報が移行されます。 |
|
ユーザー | Bitbucket Server インスタンスのすべてのアクティブユーザーが移行されます。 非アクティブなユーザーは移行されません。またユーザーの権限も移行されません。 |
|
グループ | ||
リポジトリの権限 | 移行後にユーザーを管理する必要があります。 | |
Git LFS |
今回 Bitbucket Cloud Migration Assistant の検証で利用した Jira と Bitbucket の環境情報は以下となります。
製品 | 項目 | 情報 |
---|---|---|
Jira Software Server | 製品バージョン | 8.12.1 |
OS | CentOS 7 | |
Java | AdoptOpenJDK 11.0.7 | |
データベース | PostgreSQL 11.8 | |
Jira Cloud Migration Assistant のバージョン | 1.5.7 | |
ユーザー情報 | 2 ユーザー | |
データ情報 | ||
Bitbucket Server | 製品バージョン | 7.15.1 |
OS | CentOS 7 | |
Java | AdoptOpenJDK 11.0.12 | |
Git バージョン | 2.25.4 | |
データベース | PostgreSQL 11.13 | |
Bitbucket Cloud Migration Assistant のバージョン | 0.0.172 | |
ユーザー情報 | 2 ユーザー | |
データ情報 |
Bitbucket Server の環境は Jira Software Server と連携 (アプリケーションリンク) してあり、ブランチやコミット、プルリクエストの情報が Jira の課題から確認することができます。
また Bitbucket Server からはブランチ名などに紐づいている Jira の課題を確認することができます。
今回は移行前に知っておきたい、Bitbucketのサーバー版、Datacenter版の違いやMigration Assistantについてご紹介しました。
後編では実際に移行する手順をご説明します。
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