リックソフトブログ

2025年03月05日

Slack上からJiraやConfluenceの内容をAIに要約してもらうには?リックソフトのRovo活用事例

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Lee.Sanghyun Lee.Sanghyun

Lee.Sanghyun</mt:Var>

  

リックソフト開発部社内の生成AI活用チームエンジニア、LEEです。

リックソフト社内では2025年2月現在、自社開発の生成AI活用Slackアプリ「AIrick(アイリック)」を社内Slackに搭載し、社員の業務効率化や業務支援を行っています。2024年10月時点のリックソフトブログ記事「生成AI活用で業務改善を図る<リックソフトのユースケース>」で紹介しております。AIrickは、マルチモーダル対応も完了し、これまでに蓄積したSlackの情報も参照して回答できるようになりました。


今回は、2024年10月~2025年2月までのリックソフト社内の生成AI活用状況に合わせて行った施策と、今後の展望についてお伝えします。

2025年2月現在の生成AIトレンド

生成AIは、主に返答までに長い時間を要する推論モデル既存の非推論モデルに分かれて日々進化しています。

自社で生成AIを導入する際、モデルの取捨選択において重要なのは、システムの要件で求められる返答までのスピードと返答精度間のトレードオフをしっかり把握しておくことだと思います。

執筆してる時点だと推論モデルの場合非推論モデルより返答生成に顕著な時間差が生じるため、AIrickの場合チャットボットのため複雑な思考を挟むより正しいデータを元に素早く返答を返す方を優先しております。

■AIrickに合ったモデル選択

リックソフト開発部は、今後推論モデルの返答スピード改善やハイブリッド型モデルが一般化したらいつでもモデルを切り替えられるようにシステムを構築し変化に対応できるようにしつつ、AIrickは従来の4oを現在も採用しています。

ーAIモデル選択のヒントにセキュリティ・監視のLangsmith

社内の利用状況をセキュアに管理及び監視するため、LangChains社のLLMOpsツール「Langsmith」を導入しています本来セキュリティ管理・監視目的で入れたLangsmithですが、実行トレース機能があるため、社員の利用データパターンを分析に役立ちました。

リックソフト社員の場合、社内業務改善には「順序立てられた推論」より「社員の質問に対し、スピーディー且つ的確に社内リソースを元に回答を生成すること」が求められることが判りました。

そのため、AIrickは当面の間、4oモデルを採用しつつ、今後新しくリリースされるOpenAIの新モデルや競合対象のGrok, Claude, Geminiなどの、アップデートをモニタリングし、劇的なスピードで変化していく生成AIのトレンドをAIrickに取り入れていく予定です。

リックソフトが抱えている課題

AIrickの場合、社員が求める返答を返すには既存のLLMにある学習データだけではなく、秘匿性の高い社内データも参照しないといけないという課題がありました。

例えば「育休のための申請をするにはどのような手続きが必要ですか?」のような質問はLLMだけでは答えることが出来ず、会社の育休申請に関する情報が記載されている特定サービスのリソースを元に返答を生成しないといけません。ユーザーの権限を考慮したリソース参照が必要です。

私たちリックソフト開発部は、AWS Kendra, Atlassian Rovoを用いて、セキュリティを考慮した社内データ参照を可能にしました。

ユーザーのアクセス権にあわせた情報参照のために試したこと

(1)AWS Kendraを活用し社内Slackデータを参照出来るようにしてみた

まずはAWS(Amazon Web Service)が提供している「自然言語処理 を活用した検索」サービス「Kendra」を活用しました。

色んな外部サービスからデータを読み込み、単純なキーワード検索だけではなく自然言語で検索が可能になります。AIrickでは主に社内Slackのリソース参照のためにKendraを使っており、社内Slackで行われている会話や添付ファイルを元にLLMが回答を生成できるようになりました。

Kendra活用例

例えば、AIrickについて社内Slackで話題になってるかどうかを調べたい場合AIrickに内容を要約してほしいと指示を出すことが出来ます。

Kendra活用例

このように、情報ソースがSlackにとどまっている場合は、Kendraを活用すれば必要な情報を得られることが分かりました。

Kendraを活用すれば必要な情報を得られる

対Atlassian製品では、Kendraの限界がくる

Kendraは外部サービスのデータを読み込めるコネクターが存在します。ただしKendraはあくまでデータを読み込み、その中から検索を行うことしかできません。

 

例えば、AIrickに以下のようなことを依頼したい場合、Kendraで対応できるのでしょうか?

  • JiraにあるプロジェクトAで完了期限が過ぎているチケットをまとめて欲しい
  • 社内Confluenceの「議事録」用スペースに来週分の議事録ページを作成して!
  • 社内Confluenceの「議事録」用スペースの先週分の議事録を要約してください
  • 特定のJiraチケットにリンクされているConfluenceページの情報を要約してください

上記の依頼を探すには、期限が過ぎているチケット情報を含めた膨大な量の課題をKendraでリアルタイムに追跡する必要があり、莫大な費用と読み込み時間がかかってしまいます。Atlassian製品を操作することに関しては実現不可能です。

対Atlassian製品では、Kendraの限界がくる

(2)Atlassian RovoとAIrickを連携してみる

そこで登場するのがAtlassian Rovoです。

Atlassian Rovoは、Atlassian製品(Jira、Confluence、Bitbucket など)のデータにAIを活用してアクセスし、情報検索やタスク管理を効率化するためのツールです。AIrickと連携すれば、Slack上から社内のAtlassianデータを直接操作できるようになります。

活用事例

例えば、以下のようなユースケースを考えてみましょう

社内ルールを管理している部署が、「全社員向けに社内ルールを公開したい」という要望を記載したJiraチケットがあるとします。

チケット担当者は、そのチケットに社内ルールに関するConfluenceドキュメントをリンクさせて、レビューを行う担当者がルールの説明ページに不備がないか検証しないといけません。

レビュー担当者は、全ページを確認する前に関連ページの要約を確認し、明らかに間違っている内容を把握する必要があります。AIrickを使い、以下のような要望が出来ました。

「特定のJiraチケットにリンクされているConfluenceページの情報を要約できるようにしてほしい」

Kendraでは出来なかったのですがAtlassian Rovoを使えば容易に実現可能です。

Rovoを使えば容易に実現可能

・勤怠ルールページの例

勤怠ルールページの例

・ページをリンクしているJiraチケット

ページをリンクしているJiraチケット

・AIrickを使い質問

AIrickを使い質問

このように、Atlassian Rovoを使えば、社内のAtlassian製品のデータを参照して答えてくれるチャットボットを作ることが出来ます。

Atlassian RovoはKendraのように外部サービス(Slack, Notion等)と連携させることができ、より柔軟でAtlassian に特化した生成AIサービスを体験することができます。

終わりに

今回は生成AIを活用した社内チャットボットのAIrickにAtlassian Rovoを連携させSlackからAtlassian Rovoを呼び出し社内データを活用できると確認出来ました。

これにより秘匿性の高い社内データを安全に取り扱えるようになり業務効率化に大きな成果が見られました。

まだAtlassian Rovoを外部サービスから呼び出すには工夫が必要ですが、Atlassian製品を利用するにあたって引き続きAtlassian Rovoを活用して行こうと思ってます。

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