リックソフトブログ

2024年09月12日

市民開発を組織に定着させるためのフレームワーク「GEARS」をグラレコ図で解説してみた_前編

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カワセミ リックソフト株式会社プリセールス課 kawasemi

カワセミ リックソフト株式会社プリセールス課</mt:Var>

  

本記事は、社内DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現のため、「市民開発を目指して自動化ツール導入したけど、全社利用が広がらないなぁ」などのお悩みを感じている担当者様向けの内容です。

前編・後編に分けて、iPaaSのWorkato(ワーカート)社が編み出したGEARSフレームワークについて触れていきます。

Workato は、企業向けの自動化プラットフォームで、さまざまなアプリケーションやサービスを統合し、業務プロセスを自動化する米国発のiPaaS(アイパース)ツールです。ノーコード/ローコードのインターフェースを提供し、技術的な知識がなくても簡単にワークフローを作成できます。リックソフトも Workato を利用し、また日本の企業のWorkato導入を支援しているパートナーです。

GEARSフレームワークとは?

Workato社がこれまで多くのお客様(組織)の自動化をスケールさせるプロジェクトに携わる中で、成功や失敗を通じて得られた知見の集合体のことで、組織で自動化を取り組んでいく時に、役立つガイドやベストプラクティスが含まれています。

GEARSフレームワークの  "GEARS" は、以下5つの英単語の頭文字を取って組み合わせた略語になります。

GOVERN:統制
ENABLE:環境整備
ADOPT:普及
RUN:運用
SCALE:拡大

GEARSフレームワークは上記の通り、統制・環境整備・普及・運用・拡大の 5つの領域(ドメイン)で構成されています。

Workato社は、自動化を組織全体に広げるにあたり、「まず基盤づくり(統制・運用)から始め、次にカルチャーの構築(環境整備・普及)を行い、最終的にはユビキタス化(拡大)を目指す」というステップを提唱しています。

GEARSフレームワークを取り入れるメリットについて

組織で自動化の取り組みを拡大しようとした際に、以下のような課題が出てきます。

  • 全社的に自動化の取り組みをしていきたいが、自動化ルールや情報の統制がとれるか心配
  • 業務部門など非IT部門から様々な自動化のリクエストが出てくるが、スムーズに本番稼働まで進めることができず、バックログが積みあがっている
  • 開発メンバーやエンジニアのリソースを割けない 

など

上記の課題に対し、GEARSフレームワークを自社に取り入れることで、段階的に、安定的に、自動化を推進できることができます。

GEARSの5つの領域(ドメイン)

GEARSの5つの領域をそれぞれ少し詳しく見ていきます。

■ 各ドメインは要素(レバー)で構成されている

各領域(ドメイン)は、「具体的に何を検討すべきか」を表す要素(レバー)に分解することができます。


一部の要素は、1つのドメインのみではなく、複数の領域(ドメイン)を跨いでいるものも存在します。

また、各要素'の中には、取り組むべき具体的な方法や、Workatoが提供できるアセット(テンプレート、機能など)が含まれています。

それでは今度は、各ドメインの要素がどういった役割を果たすものなのかを見ていきたいと思います。

■ (1)G O V E R N:統制

統制のドメインは、以下4つの要素(レバー)に分解できます。

1.「自動化」するバックログ優先順位付け

  • この要素は、「自動化のアイディアを提出するためのプロセスの明確化」「自動化要求の優先順位付け」の2つの面があります。
  • この要素は、ビジネスへの影響が最も大きい要求から取り組んでいくことができ、部門横断的な可視化を実現し要求の状況を把握しやすくします。

2. アーキテクチャデザイン

  • 運用においてルールの徹底が重要となります。
  • 「自動化」実装者が従うべきルールを定義する要素です。

3.セキュリティと管理

  • リスクを最小限に抑えながらも、自由度や柔軟性がある環境で自動化が取り組めるように仕組みを考える要素です。
  • 仕組みを考える際には、以下を考慮をします。
    ・ 自動化アセット管理アプローチ
    ・ ロールベースのアクセスポリシー
    ・ ユーザー認証と管理
    ・ アプリの接続とデータセキュリティ
    ・ 監査・コンプライアンス管理

4.ライフサイクルマネジメント

  • 自動化のアイディアの発見~本番稼働・運用までのチームが行う一連のステップを計画・定義する要素です。
  • 一般的に、自動化を導入するプロセスには、複数のチームや業務が関与しています。実装をするにあたりサービスの中断を減らすにはこの要素がポイントとなります。

■ (2)E N A B L E:環境整備

環境整備のドメインは、以下4つの要素(レバー)に分解できます。

1.リソースセンター

  • 自動化に関わるメンバーや、興味を持つ人々に役立つ情報を提供するための要素です。
  • 自動化実装者向けの情報には以下のようなものがあります。
    ・ トレーニングガイド、サンプル・テンプレート、ベストプラクティス、手順 など
  • 自動化に興味を持つメンバー向けの情報には以下のようなものがあります。
    ・ デモ・説明会の記録、事例紹介、既存の自動化のカタログ など

2. オンボーディングと教育

  • 自動化を迅速かつ効果的に進められるように、オンボーディングと教育を行う要素です。
  • オンボーディングプランとガイドを準備し、継続的な教育リソースを提供します。

3.アクセラレータと再利用可能な資産

  • より早い自動化実装に繋がる為に、一般的に利用されるパターンやユースケースを活用したり、、標準化やベストプラクティスをテンプレ化する要素です。
    例として以下のようなものがあります。
     ■ Workatoアクセラレータ
     ■ 共通機能をカプセル化した レシピファンクション
     ■ 共通パターンのレシピ


4.ライフサイクルマネジメント

■ (3)A D O P T:普及

普及のドメインは、以下4つの要素(レバー)に分解できます。

1.バリューレポーティング

  • 自動化の効果を定量化するためのアプローチの要素です。
    以下のような様々な指標を含みます
     ■ 運用コスト削減
     ■ 収益への影響
     ■ リスク&コンプライアンス

  • 投資対効果の判断に重点を置いた優先順位付けは、長期的に自動化導入・広がりの成功率が高くなります。



2.チャンピオン&エバンジェリズム

  • チャンピオンによって、自動化がいかにビジネス上の問題を解決できるか(自動化がもたらす価値)についての情報を発信する要素です。
    ・ チャンピオン:自動化の価値を理解し、社内でそのメリットを広める推進者のこと。
    ・ エバンジェリズム:組織全体に自動化の利点や機能を伝える方法のこと。



3.コミュニティ

  • 経験談やアイデア交換など、チーム間の連携を促進するプログラムを通じて、コラボレーションを強化し、自動化の文化を育てるための要素です。
  • 通常、コミュニティはSlackチャンネルや社内ウェブサイトのような小さな規模から始まり、徐々にイベントやプラットフォームへと拡大します。


4.オンボーディングと教育

■ (4)R U N:運用

運用のドメインは、以下4つの要素(レバー)に分解できます。

1.プロジェクトの実行

  • リーンオートメーションとアジャイル開発を組み合わせ、素早くサイクルを回す要素です。

2.キャパシティプランニング

  • 現在や将来の取り組みを行う為の必要な使用量(レシピ数、タスク消費量)を計算・予測する要素です。


3.サポートモデル

  • ユーザーが 活用できる様々なチャンネルを用意する要素です。
    ・ 開発サポート(例:特定のレシピに行き詰った場合など)
    ・ 製品サポート(例:エラーが出た、バグが見つかった場合など)


4.オペレーション

  • 日々の運用活動で取り組むべき領域(以下)に焦点をあてている要素です。
    ・ モニタリングと追跡
    ・ ログの集約戦略
    ・ 分析機能
    ・ エラー処理と通知
    ・ 並行処理とパフォーマンス管理

■ (5)S C A L E:拡大

拡大のドメインは、以下3つの要素(レバー)に分解できます。

1.自動化の成熟度と改善

  • 自動化の成熟度を評価し、全社的な導入に向けた計画を立てるための機会や推奨事項を明確にするための要素です。
    ・ この要素を取り込むことで、
     ■ 各カテゴリーの現在の成熟度を把握し、基準値を設定できます
     ■ データに基づくアプローチを確立し、段階的な改善を導入できます
     ■ 改善を促進するために、ガイド付きの推奨事項を取り入れることができます
     ■ 定期的な評価を行い、進捗を可視化・定量化できます


2.オートメーションディスカバリー

  • 自動化できるプロセスを探索する行動です。
    ・ ワークショップ
    ・ ユーザートレーニング
    ・ カンファレンス
    ・ ハッカソン
    ・ ビジネスプロセスの最適化


3.エンタープライズ・オートメーション・エコシステム

  • Workatoだけでは対応できない特殊なケースの場合に、他のツール(RPAなど)や要件をどのように組み合わせるかを定義する要素です。

まとめ

本記事の後半では、Workato社が提唱するフレームワーク「GEARS」の各領域(ドメイン)の要素を見てきましたが、どの要素が自社の取り組みに足りていないか1つずつチェックするのは大変ですよね。

Workato社は、質問に答えていくだけ、不足している要素を分析し改善案を提案してくれるチェックリスト(自動化成熟度診断)を提供しています。

次回は、自動化成熟度診断のご紹介や、今回はご紹介できなかった全ての領域(ドメイン)を跨っている要素(ビジネステクノロジー戦略、AutomationHQ)について触れていきたいと思います。

                                         

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