リックソフトブログ

2024年07月22日

Jira のふりかえりアプリを使ってJira上でふりかえりをしてみた

Author

廣田 隆之 Takayuki Hirota

廣田 隆之</mt:Var>

  

--本ブログは Jira のソフトウェアプロジェクトを利用されている方向けの内容になります--

認定スクラムマスター、SAFe® プラクティスコンサルタント(SPC6)の廣田です。今回のブログでは、スクラムイベントのひとつであるスプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)に活用できる便利なJiraのアプリをご紹介します。

スプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)とは

皆さんのチームは定期的なふりかえりを実施されていますか?スプリントの最後に行われるスプリントレトロスペクティブは、スプリントを締めくくる大事なイベントです。あらためてスクラムのルールブックであるスクラムガイド(日本語)を紐解くと、スプリントレトロスペクティブは次のように説明されています。

スプリントレトロスペクティブの⽬的は、品質と効果を⾼める⽅法を計画することである。

スクラムチームは、スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発⽣したか、そしてそれらの問題がどのように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。

スプリントレトロスペクティブをもってスプリントは終了する。スプリントが 1 か⽉の場合、 スプリントレトロスペクティブは最⼤ 3 時間である。

では、カンバンチームではいかがでしょうか。カンバンはフローを重視するプラクティスであり、カンバンガイド では定期的なイベントは定義されていません。

しかし、スプリントやイテレーションのないカンバンチームにおいても、定期的に自分たちの仕事をふりかえり、問題点を洗い出し、新しいやり方を話し合うのは大いに有効であると考えます。

アジャイル開発の本質を説いた文献では、継続的な学習と適応が重要であると書かれています。ふりかえりは、学習と適応のサイクルを回す良いイベントです。

「チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、
それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。」

アジャイル宣言の背後にある原則

ソフトウェア開発に対するアジャイルなアプローチとは、適応力と協調を重んじる人々が、一丸となって目に見える具体的な目標(きちんと動作するソフトウェア)に向かっていくことである。

書籍「アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣」(オーム社)

スプリントレトロスペクティブを実施するにあたり、専用のソフトウェアは必須ではありません。Confluence やオフィスにあるホワイトボードでも手軽に始めることは可能です。

しかし、既に Jira をお使いのチームであれば、専用のJira アプリを使うことで、Jira上にふりかえりの記録も残すことができます。

Jira の課題とリンクさせてトレーサビリティ(追跡性)の向上を図り、次のアクションを Jira のタスクに落とし込むことも容易になります。

今回は、Jira をお使いのチームがふりかえりを効果的に行うことができるアプリをご紹介します。また、私自身が業務でアプリを使ってきた経験をもとに、アプリの良いところ、足りないところもお伝えできればと思います。何らかのヒントになれば幸いです。

サードパーティ製Jiraのアプリ「Easy Agile TeamRhythm」で振り返る

今回ご紹介する Jira アプリは、Easy Agile 社の Easy Agile TeamRhythm です。Easy Agile 社と弊社はパートナーシップを締結しており、パートナーページにおいて、弊社はインストール、デモ、アジャイル、大規模アジャイルの能力を備えたパートナーとして掲載されています。

Easy Agile のアプリは、Jira Cloud だけでなく、オンプレミスの Jira Data Center にも対応しており、Atlassian エコシステムで広く使われているアジャイル支援アプリといえるでしょう。Easy Agile TeamRhythm のメイン機能はユーザーストーリーマップの作成です。ユーザーストーリーマップ機能については、以前公開した弊社ブログをご参照ください。

ちょっと気になるアプリ(アドオン)シリーズ:Easy Agile User Story Maps for Jira - リックソフト公式ブログ(Ricksoft Blog)

ユーザーストーリーマップも強力な機能ですが、私のチームでは Retrospective(ふりかえり)機能にも着目し、日々の業務で活用しています。

アプリ「 Easy Agile TeamRhythm」の簡単な使い方

(1)Retrospective(ふりかえり)ボードを表示する

Jira にアプリをインストールしたら、プロジェクトのサイドバーに Retrospective というメニューが表示されます。

スクラム、カンバン、企業管理対象プロジェクト、チーム管理対象プロジェクトを問わず、ソフトウェアプロジェクトであれば利用可能です。

(2)ふりかえり内容を記入する

スクラムボードであれば、Retrospective(ふりかえり)ボードがスプリントごとに自動的に用意されるので、ふりかえり内容を記入するだけです。

カンバンボードにはスプリントがないため、任意の名前で Retrospective(ふりかえり)ボードを新規作成後、ふりかえり内容を記入します。

◆Retrospective(ふりかえり)ボードのカスタマイズ

カラムの文言(Start, Stop, Continue)は自由に書き換えることができ、KPTA (Keep, Problem, Try, Action)方式にすることも可能です。私のチームでは実際にそのように運用しています。この文言はあらかじめチーム内で相談して決めておくのが良いでしょう。

(3)スプリントレトロスペクティブのイベントでボードを活用

スプリント終了時はこのボードを見ながらスプリントレトロスペクティブを実施します。新たに試したいことを Jira の課題にしてバックログに入れたり、その場で出たコメントを追加したり、自由に活用しましょう。各アイテムの下には、コメント、アクション、絵文字、「いいね」のボタンが並んでいるので、アクションボタンを押せば、アクション項目として次のスプリントで取り組むタスクを作成できます。Convert to Jira issue にチェックを入れると、アクション項目を Jira 課題としてバックログに入れることも簡単にできます。

その他、面白い機能として、ボードの Mood ボタンを押すと、スプリントを終えるにあたり、各メンバーの気分を絵文字で表現できます。(2024年7月に確認したところ、どのユーザーがどの絵文字をクリックしたのかは可視化されません)

チームとして良い状態なのか、ストレスを抱えているメンバーが多いのかパーセンテージで評価できます。チームの状態を数字で可視化できるのは便利ですね。

ふりかえり専用アプリを使ってみたメリット3つ

(1)Jira上に記録が残る

Jira のスクラムボードからいつでも過去のふりかえり内容にアクセスできるため、チームの過去の失敗から学ぶことも多く、アジャイルで推奨されている継続的な学習を支援します。

振り返りの確認をするために別のサービスに移動することなく、Jira上ですべて完結するので、ユーザーとして切り替えのための認知コストを減らせます。

(2)いつでも気がついたときに記入できる

スプリント終了のタイミングで2週間分のふりかえり内容を思い出しても、忘れてしまっていることはよくあります。いつでも気がついたときに、ふりかえりボードに記入することで、素早いフィードバックループを形成することができます。

私のチームでは、問題点について改善を即適用して、スプリント終了を待たずに解決してしまうこともあります。

(3)Jira 課題とのリンクされる

Jira 課題の対応中、ふりかえりボードに書きたい内容を思いついたら、Jira 課題画面の Easy Agile Retrospective ボタンから、ふりかえりアイテムを作成することできます。

ふりかえり専用アプリを使うデメリット

あえて気になる点を挙げるとすれば、以下の2つです。

(1)アプリの UI が英語のみ

メニューやボタンなど、アプリの表示が日本語に対応しておらず、英語のみとなっています。とはいえ、日本語の入力は問題なくできますし、メニューの英語表記も、慣れてしまえばほとんど気になることはないと思います。日本語利用ユーザーが増えれば、アプリの日本語化もきっと加速するはずなので、日本のユーザーコミュニティが拡大するといいですね。

(2)コスト

Easy Agile TeamRhythm のメイン機能はユーザーストーリーマップなので、ふりかえりのためだけにこのアプリを導入するのは費用の面で見合わないと考えるチームもいらっしゃるかもしれません。Jira のアプリは Jira のユーザー数に依存するため、ふりかえりが必要な数名のために、数百〜数千のユーザー数が必要になってしまう点はデメリットといえるかもしれません。

おわりに

以上、Jira でふりかえりを実施する方法でした。

今回ご紹介した内容がお役に立てば光栄です。Easy Agile のラインアップには、大規模アジャイルチームをサポートする Easy Agile Programs という製品もあります。このアプリの紹介もしたいところですが、紙面の都合上、次回以降のお楽しみとさせていただきたいと思います。もっと具体的な話が聞きたい、Easy Agile の製品を試してみたい、アジャイルやスクラムについて相談したいという方がいらっしゃいましたら、いつでも弊社にお声がけください。

                                   

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