2024年07月17日
Atlassian製品のAIってなにができるの?2024年夏時点の機能をまとめました阿部 真紀子 abe makiko
既にAI(人工知能)は、わたしたちの生活に欠かせない存在となりつつあります。そして、ビジネスの現場でも、AIはわたしたちの業務の効率化に一役買うようになってきました。
IT業界でも、さまざまな製品にAI技術が取り入れられるようになりました。我々リックソフトが取り扱っているJira, Confluence, Jira Service ManagementなどのAtlassian(アトラシアン)製品も例外ではありません。
本記事では、そのAtlassian製品に取り込まれているAI機能についてご紹介します。
Atlassian製品では、"AI"という用語を「Atlassian Intelligence」の略称として使用しています。Atlassian Intelligenceは、OpenAI社とAtlassian社が共同で開発した人工知能で、Atlassian Cloud製品内に組み込まれています。
現在、各製品のPremiumプランおよびEnterpriseプランをご契約の環境では、Atlassian Intelligence機能が自動的に有効化され、すべてのユーザーが利用できるようになっています。
ここでは、Confluence, Jira , Jira Service Managementの3製品それぞれで利用できるAtlassian Intelligenceのオススメ機能を動画にてご紹介します。
※動画がぼやけて見づらい場合は、YouTubeの設定より画質を「720p」に変更して視聴してください。
Confluenceでは、ナレッジの検索やページの要約、社内用語の意味の確認や文章の改善などにAtlassian Intelligenceを活用できます。
社内Wikiとして活用できるConfluenceは、社内のさまざまな部門の情報が蓄積されているナレッジの宝庫です。
一方で、大量に蓄積されたナレッジの中から必要な情報を見つけることに時間を取られることが度々あります。また、情報共有のために新しいナレッジを作成することもそれなりのエネルギーが必要になります。
Atlassian Intelligenceは、このような場面でより効率よく業務を進められるように支援してくれます。
大量のナレッジの中から必要な情報を検索する時、なかなかその情報にたどり着けないことはありませんか?急いでいる時には、細かい条件を設定することを面倒に感じたりしますよね。
このような時、検索BOXに自然言語で質問を入力することで、すばやく情報を検索できます。また、フォローアップとして次の質問を提示してくれます。
探していた情報にたどり着けたけど、ページを開くと文字がぎっしり詰まっていて、じっくり読んでいる時間的余裕がない、あるいはすべてに目を通すのが億劫ということがありますよね。
このような場面では、ページ内の情報を簡潔にまとめて要約してくれますので、すべてに目を通すことなく要点を掴めます。
ナレッジを読んでいると知らない単語や曖昧に意味を理解している単語に遭遇することがありますね。社内特有の専門用語もあり、「いまさら聞きづらいなぁ」と思うこともあると思います。
このような時は、その単語を選択して「定義」ボタンをクリックすることで解決できます。Confluence内の他のナレッジ(ページ/ブログ)から情報を収集して、その用語の定義文を作成してくれます。
新しくナレッジを作成する際や、既存のナレッジを編集する際に、文の構成やトーンに悩むことはありませんか?ナレッジは、情報を蓄積して他のメンバーに共有することが目的でもありますので、分かりやすく読みやすい文章にすることが大切です。
このような場面では、対象のページを編集モードにした状態で、メインツールバーから「書き込む」を選択すると、文章の改善やトーンの変更をすることができます。
Confluenceでは、他にもいくつかのAtlassian Intelligence機能があります。
詳しくは、次のページを参考にしてください。
★ 【2024夏版】ConfluenceのAI、自動翻訳(ベータ版)が登場したのでさわってみた
★ 【2024年4月版】Confluence AIはどのくらい頼れそう?【リックソフトの"デジタルガイドブック"】を入れてみた ーリックソフトブログー
Jiraでは、課題の検索、説明欄やコメントの要約、そして自動化ルールの生成などにAtlassian Intelligenceを活用できます。
日々の業務で発生するタスクを管理できるJiraは、開発部門だけではなくビジネス部門でも幅広く使用されています。プロジェクト間の課題のリンク付けや、ConfluenceやJira Service Managementなどとの連携も容易であるため、ますます活躍の場が広がっています。
ここでも、Atlassian Intelligenceは、みなさんのお手伝いをしてくれます。
日々の業務の中でタスクは次々と生まれてくるものです。たくさんのチケットの中から目的のチケットを見つけ出すのに一苦労されたという方も多いでしょう。
自分にアサインされたタスクに取り掛かる時に「過去の類似のタスクを参考にしよう」「関連するタスクを紐づけておこう」と思った時に、そのチケットをすぐに見つけられないことはありませんか?
Jiraのチケット検索方法には、比較的簡単に条件を付けて検索できる「ベーシック検索」と、JQLというJira用クエリ言語を使って検索する「高度な検索」の二つがあります。
検索したい内容を自然言語で入力すると、Atlassian Intelligenceがベーシック検索の条件を設定してくれます。複雑な条件を設定したい場合、AIが自然言語からJQLに変換してチケットを検索してくれます。
複雑なタスクは説明文が長くなりがち、たくさんの人が関わっているタスクはコメントが多くなりがちです。
詳細な経緯は不要で、タスクの概要や結論のみを把握したい時には、説明文やコメント欄を要約してみましょう。
※本ブログの執筆時点では、コメントの要約は英語で表示されるため、説明文の要約のみをご紹介しています。
Jiraの自動化は、単純なタスクや毎日のルーチン作業を置き換えるのに役立ちます。自動化することによって、工数の削減や人的ミスの回避ができるというメリットがあります。
Jiraの自動化ルールは、ノーコード・ローコードで作成できますが、ビジネス部門の方には少しハードルが高く感じられるかもしれません。
作成したい流れを自然言語で説明すると、Atlassian Intelligenceが自動化ルールを組み立ててくれます。Atlassian Intelligenceが組み立ててくれたルールを元に微調整し、短時間でルールを仕上げることもできます。
JiraのAtlassian Intelligence機能についての詳細は、次のページを参照してください。
★ 【JQLをAIが生成】Jira Cloudでの「Atlassian Intelligence(AI)」機能【業務に役立つヒントもAIが提供】 ーリックソフトブログー
★ 【Jira初心者向け】Jiraの自動化、AIに設定してもらえる!子課題が開始になったら自動で親課題・エピックも開始にしてほしい ーリックソフトブログー
Jira Service Managementでは、カスタマーの感情分析、適切な返信文の作成、チケットの説明文やコメント作成の他、新しいリクエストタイプの作成にAtlassian Intelligenceを活用できます。
また、仮想エージェントのインテントに一致しない問い合わせに対して、関連するナレッジを提供してくれる機能もあり、Atlassian Intelligenceを活用できるシーンがたくさんあります。Jira Service Managementは、ITIL4のプラクティスに基づいてITSM(ITサービス管理)を実現できる製品として、今注目を集めています。
ここでは、サービスリクエスト管理を行ううえで、Atlassian Intelligenceを活用して、どのように業務を効率化できるかをご紹介します。
サービスデスクでは、カスタマーの感情を理解し、寄り添った対応をする(共感する)ことが求められます。
カスタマーの立場になって考えたり、コメントから行間を読んだりして、相応の対応をすることが望ましいのですが、他人の感情を読み取るのは簡単ではないですよね。
Atlassian Intelligenceは、チケット起票時の説明文やコメントを元に、カスタマーの感情を分析し、肯定的/中立的/否定的に分類して表示してくれます。
チケットが起票された後は、カスタマーがコメントを追加する度に感情が分析されて表示されます。この感情分析は、優先度を設定したり、返信文の文面を作成したりする際の参考にできます。
※カスタマーの感情分析を表示するには、事前にプロジェクト設定の"機能"より、「カスタマー感情分析」を有効化しておく必要があります。
エージェントは、カスタマーの感情に基づいて、返信する際の文面を工夫する必要があります。
カスタマーが社内のユーザーなのか社外のユーザーなのか、問い合わせが比較的簡単な質問なのか障害の報告なのか、などによって文面を変えることは重要です。そうは分かっていても、適切な言い回しが思いつかず、返信文を仕上げるのに時間がかかることがありますよね。
このような場面では、要点を含めた返信文の下書きを作成後、「共感するようなトーンで」「カジュアルなトーンで」のようにAtlassian Intelligenceに指示することで、適切な文章に変換してくれます。また、自然言語で直接指示することも可能です。「伝えたいことは決まっているのに、言い回しで悩む...」という時間を減らすことができそうです。
Jiraと同様に、説明文やコメントを要約できます。
コメントの要約は、後続の対応を別のメンバーに引き継ぐ時や、やり取りが長期化してざっくりとこれまでの経緯を把握したい時などに便利です。
サービスデスクで受け付ける新たなメニューを検討するのは、わくわくする気持ちになりますが、どのようなリクエストタイプが適切なのかに悩むことがあると思います。
このような時、Atlassian Intelligenceが提案してくれたリクエストタイプを元に準備を進めることができます。リクエストタイプを作成する画面から、自然言語で作成したい内容を入力すると、いくつか候補を提示してくれます。
また、リクエストタイプの作成後には、適切なフィールドの提案もしてくれます。既存フィールドの場合には直接追加、新規フィールドの場合にはカスタムフィールド作成画面に移動して作成することができます。
※本ブログの執筆時点では、提案内容の一部が英語になっていますので、適宜日本語に変更して作成してください。
仮想エージェントの機能では、あらかじめ設定しておいたインテント(対応フロー)に基づいて、仮想エージェントがカスタマーからの問い合わせに対応してくれます。
さらに、Atlassian Intelligenceによる回答を有効化しておくと、カスタマーからの問い合わせ内容がインテントに一致しない場合に、関連しそうなナレッジを提案してくれます。人間のエージェントに代わって、仮想エージェントとAtlassian Intelligenceが、24時間対応してくれます。
この機能を使用するには、事前にプロジェクトとConfluenceスペースをリンクしておくなど、いくつか事前準備が必要です。詳しくは、次のページを参考にしてください。
Jira Service Managementでは、今後インシデント管理でもAtlassian Intelligenceの機能が使用できる予定です。
詳細は、次のページを参照してください。
最後に、Atlassian Intelligenceは顧客データをどのように扱っているのか、というご質問をよくいただきます。
Atlassian Intelligenceに対して入力したデータや出力されたデータには、企業の機密情報が含まれている場合もありますので、それらが外部に漏洩しないかを懸念されてのご質問になります。OpenAI社が、これらのデータを保持することはなく、サービス改善のためのトレーニングに使用することもありません。
また、Atlassian Intelligenceから出力されるデータは、製品上の各ユーザー権限に基づいていますので、本人が知り得ない情報が出力されることはありません。このため、ユーザーによって同じ問いかけをしても、出力される内容が異なることがあります。
詳細は、Atlassian社のページ(Atlassian Intelligenceのよくある質問)をご確認ください。
いかがでしたでしょうか?
まだ使ったことがない機能がある場合には、是非お試しください。
Atlassian Intelligenceを仕事の相棒として、業務の効率化に役立てていただけると幸いです。
※今後も順次機能が追加されていくと思いますので、リックソフトブログで紹介してまいります。
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ご不明な点はお問い合わせください。
アトラシアン社ではサポート範囲外となっているサードパーティ製のアドオンをリックソフトのサポートではサポートします。
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