2024年06月28日
【OKR運用のヒント付き】 Jira Cloud で OKRの管理をやってみた廣田 隆之 Takayuki Hirota
皆さんは、日々取り組まれているタスクやプロジェクトがどのように会社や組織の目標に貢献しているのかすぐにイメージできますか。
自分たちのチームの目標が何なのか、目標に向かってどのくらい進捗しているのか、いつでも確認できるツールがあれば、モチベーションも保てそうですよね。
OKR は企業や組織において、目標を軸に人々を鼓舞し、組織のメンバーが一丸となって目標に向かって進むことをサポートしてくれるフレームワークです。類似のフレームワークに人事評価システムの MBO がありますが、OKR は従業員を評価するためのフレームワークではありません。 チームがどのように目標を達成していくかを可視化するためのフレームワークです。
OKR とは Objective and Key Results の略で、(達成すべき)目標を O、(達成すべき)主要な結果・行動を KR として表現します。
例えば、個人的な年間目標を OKR として表現するとこうなります。
O | 心身ともに健康に暮らす |
---|---|
KR | 体重が55kgになる |
KR | 平泳ぎで100m泳げるようになる |
KR | 歩数計アプリの平均歩数8000歩 |
O は定性的でわかりやすく、KR は定量的で測定可能なものを設定します。
書籍「OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」(日経BP社)によると、朝起きてやる気が湧いてくれば、良い O を設定できており、達成できないかもと少し心配になれば、適切な KR である、とのことです。
そして、目標を達成するためにタスクを設定して実行していきます。
例えば、体重を55kgにするために「スポーツジムに再入会する」、平泳ぎを泳げるようになるために「公共のプールを探す」などです。OKR のチェックインは毎週など、定期的にチェックをしてタスクを見直すことも必要ですね。
製品開発チームの OKR の場合は、以下のような OKR が考えられます。
O | 世界中のユーザーに使われる製品になる |
---|---|
KR | ウェブサイトへの訪問者数が10000ユーザーに到達 |
KR | 評価版ダウンロード数が1000に到達 |
KR | サブスクリプション契約数が100に到達 |
OKR を導入するにあたり、専用のソフトウェアは必要ありません。スプレッドシートやホワイトボードでも手軽に始めることは可能です。しかし、既に Jira や Confluence といった Atlassian 製品をお使いの組織であれば、専用の OKR アプリを導入すると、運用管理が楽になります。
今回は、Jira Cloud を導入済の企業に向けて、Jiraで OKR を始める方法をご紹介します。
また、私自身が業務で OKR を数年間使ってきた経験をもとに、運用のコツや失敗談もお伝えできればと思います。
2024年6月時点において、Atlassian Marketplace をキーワード "OKR" で検索すると、インストール数1000を超えるアプリが3つ見つかります。いずれも、似たインタフェースと機能を備えているので、ご自身でお試しいただき、気に入ったものを利用いただければと思いますが、それぞれの特長を簡単にまとめます。
このアプリについては、以前公開した弊社ブログもありますので、ご参照ください。
今注目の「OKR」をJira(ジラ)で実現!「OKR Board for Jira(Cloud)」をご紹介 - リックソフトブログ
実は私はプライベートで自身の年間目標をこのアプリで管理しております。OKR の内容は健康面や趣味に関する個人的なものです。
私のチームではこのアプリを使って、チームの四半期 OKR を週次で追跡しております。チームの Confluence スペースホームページには OKR のマクロが貼られており、Confluence 上でも OKR の最新情報を確認できるようになっています。
上記の例では、2つの目標が順調(緑:On Track)、7つの達成すべき行動のうち、2つが順調(緑:On Track)、2つがリスクあり(黄:At Risk)、2つが成功で終了(薄緑:Success)、1つが脱線(赤:Off Track)を示しています。*アプリの言語は英語のみです。
クラウドの OKR ソフトウェアは多数存在します。
リックソフト株式会社の米国子会社(Ricksoft, Inc.)で利用実績のある Tability をご紹介します。
本製品の特長として、OKR 専用サービスのため、ユーザーインタフェースが直感的でわかりやすいです。
創業メンバーが Atlassian 出身のため、Jira 連携など、Atlassian 製品との親和性が高いこともメリットです。Jira のアプリではないため、OKR が必要なユーザーのみに絞ることで初期費用を抑えることができます。
Tability のウェブサイトでは弊社子会社の Ricksoft, Inc. の導入事例も紹介されています。
*2024年7月現在、UIは英語のみです。
OKR をうまく運用するためのコツを3つご紹介します。
OKR はムーンショットといって、達成が難しいと思われるくらいの目標が良いと言われています。
しかし、あまりにも高すぎる目標を設定してしまい、毎週のチェックインが憂うつになってしまうようではいけません。
OKR では自信度合いを緑、黄、赤の3色で表現するのですが、私は担当していた OKR で毎週赤い状態が続いてしまい、チームメンバーの鼓舞が難しく感じた時期がありました。また、目標が低すぎてもあまり意味がありません。適切な目標設定ができるようになるには、継続的な改善と学習が必要です。
OKR は定期的にチェックをするのが好ましいため、週次で追跡した場合に変化が少ない数値だとあまり効果的ではありません。例えば、四半期に売上2件といった目標の場合は、週次で追跡しても数値に変化はほぼありません。
それであれば、売上を目標にするのではなく、問い合わせ件数を KR にするなどして、難易度を工夫しましょう。
OKR を設定する際は、定義や指標を明確にしておきましょう。例えば、製品への問い合わせ件数を KR に設定したのであれば、メールでの問い合わせは件数に含むのかどうか、ウェブサイトの問い合わせフォームからのものだけなのか、などです。
OKR は一度設定して終わりではなく、次の四半期、翌年など、継続して追跡することで洗練されていくものです。定義を明確にして、人によって認識がずれることのないよう、正しい目標設定をしましょう。
以上、Jira Cloud で OKR を活用する方法でした。今回ご紹介した内容がお役に立てば光栄です。もっと具体的な話が聞きたい、うちのチームでも OKR をやってみたいという方がいらっしゃいましたら、いつでもリックソフトにお声がけください。
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