リックソフトブログ

2024年12月20日

<JSM×AIの底力を見て!>リクエスト管理の回答作成までの手間を (1)手動 (2)Atlassian Intelligence (3)Atlassian Rovo で比較してみた

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南澤 華代 Hanayo Minamisawa

南澤 華代</mt:Var>

  

こんにちは。リックソフト カスタマーサービス部 ヘルプデスク課 の南澤です。リックソフトでお客様向けに Atlassian 製品の技術サポートを担当して11年経ちました。

もう「私たちのサポートはいらなくなるのでは?」と不安になるほど、昨今の AI 技術の進歩は大きいです。
正直、私たち人間の役割は 、"AI が出す回答案が正しいかどうか"の判断と、"これ以上いい案や回答策があれば提示する"程度なのではと思うほどです。

Atlassian 製品でも AI 機能 (Atlassian Intelligence、アトラシアン・インテリジェンス) が搭載されています。(Premium プラン以上が対象です)
2024年11月には、 複数ツールの横断検索や チャット、AI エージェントも駆使できる  Atlassian Rovo がリリースされました。

今回は、従来の Atlassian 製品にAtlassian Intelligence 機能や、 Atlassian Rovo があると何が違うのかを比較していきたいと思います。

前提ーJira Service Managementで問い合わせ管理をしていること

社内ユーザー向けに Atlassian 製品の問い合わせを Jira Service Management (サービスデスク)で対応しているとします。下記のようなポータルサイトを設定します。

今回は、「問い合わせの対応者の立場で、ユーザーから来た質問の最適解を探し、回答を作成する」想定で比較していきます。

くまアイコン 問い合わせしてくるユーザー側で疑問を解決するような機能 仮想エージェント機能(リンク先:Atlassianドキュメント) もありますが、今回は使わず、またの機会に紹介します。

社内の Jira ユーザーさんから以下の質問が来ました。

お問合せの対応者は、質問を読みましたが、回答がわかりません。

(1)手動で頑張って回答をを作る/(2)Atlassian Intelligence を利用して回答を作る/(3)Rovo を利用して回答を作る  の3パターンで、それぞれユーザーさんへの回答までどう動いたかを記載します。

(1)手動で回答を頑張って作る

まず Jira Service Management で類似の問い合わせがないか 画面右上の検索バーで調べてみます。

ためしに 「グループのユーザー」でキーワード検索してみました。

言語の揺らぎのためかはわかりませんが、一致しているだろう問い合わせをみつけることができませんでした。

社内問い合わせは、実は Slack チャンネルのほうにも投稿されます。

今後は Slack で検索をかけてみます。検索の仕方がよくわからないので、とりあえず単語「Jira グループ ユーザー」で検索をしてみます。ここでも有用な情報が手に入りません。

次に、会社で利用している Confluence にナレッジがないか検索します。
こちらもよく検索方法がわかりません。「Jiraのグループ ユーザー」で検索してみます。

候補は出てきたものの、候補が多く読み切れず、途中で関連情報があるかどうかを探すのをあきらめてしまいました。

困った対応者は、社内の識者へ Slack のDMで問い合わせをするのでした。
識者は午後半休を取っていたため、回答を得られたのは次の日でした。

上記のように回答を得られたものの、回答は口語なので、そのまま質問者へ回答はできないですよね。
対応者は、文章の書き方にも悩み、苦労して回答を作成し、やっと回答を完了させました。

本来は社内の識者の回答も正しいか裏付けをとらないといけなかったですね。

このように、「(1)手動で頑張って回答をを作る」ケースは、時間をかけたわりには、信頼性のある回答ができなかったという結果になりました。

現在実験版での提供ですが、「類似のリクエスト」を表示できる機能が追加されています。

プロジェクト設定 > 機能 で「類似のリクエスト パネル」をオンにすると利用できます。関連していそうな問い合わせ課題の候補を表示してくれます。 (自然言語処理(NLP) を使用して、類似した内容のタイトルの課題リストを表示する)

詳細は Jira Service Management で類似の課題を見つける をご参照ください。

(2)Atlassian Intelligence を利用して回答を作る

※Atlassian Intelligence ( AI )は、Premium プラン以上の限定機能です。

今度は Atlassian Intelligence を使って回答を作成する方法に挑戦します。

Jira Service Management で類似の問い合わせがないか 課題検索画面で調べてみます。
「AI」で検索を開始すると、自然な言語で検索できます。今回は、「jiraとグループを含む課題は」と入れてみます。

答えに近づいてきました。
対応者は一番関連してそうな過去の問い合わせリンクを開いて内容を確認し関連性を確認します。

また、Atlassian Intelligence の「要約」機能(現時点では英語のみ、今後日本語も対応するかも)を使うと、説明とコメント欄を要約して表示してくれます。

上記の方法で関連性のある問い合わせは特定できました。

続けて、足りない情報(Confluenceのユーザーリストマクロの機能)を調べるため、社内 Confluence でナレッジ検索をします。
対応者はなぜ 社内 Confluence で検索しようとしたのかというと、リックソフトの デジタルガイドブック (Confluence Cloud 管理者 操作ガイド) が Confluence に入っているからです。

Confluence の検索画面を開き、Ask AI から 「Confluenceのユーザーリストマクロについて教えて下さい」と自然言語で検索します。
以下のように回答と参照元のドキュメントリンクが返ってきます。

上記の情報をもとに回答を作成します。

「もっと丁寧な感じにしたいなー」という場合は、コメント欄の AI アイコンをクリックして、トーンを次に変更 で変更したい言い回しを選択しましょう。

候補が気に入ればそのまま「置換」をクリックすればコメントが置き換わります。

以上で回答が作成できました。

現在ベータ版での提供ですが、Atlassian Intelligence で 「カスタマーへの返信文を提案する」 機能が追加されています。

今後はこちらを利用してまずは回答案を作ってみるのもいいですね。

詳細は、過去のリックソフトブログ https://www.ricksoft.jp/blog/articles/001631.html の「(1)返信の下書きを AI 作成(ベータ版)」を見てください。

(3) Rovo を利用して回答を作る

Atlassian Rovo は Confluence などの Atlassian 製品以外にも Slack や SharepointといったOOTBのツールと連携して横断検索できるのも特徴です。(現時点でどのツールと連携できるのかは、https://support.atlassian.com/ja/rovo/docs/manage-rovo-connectors/ で確認ください)

今回のケースでは、Atlasssian Rovo を使って、Slack での問い合わせ履歴と Jira Service Management の問い合わせ履歴、Confluence のナレッジを横断検索して運用しているとします。

Atlassian Rovo の機能の Rovo チャットで、Rovoに質問を出してみます。

「jira-resident-project-members グループの所属メンバーを教えてください」と会話する感覚で質問を投稿します。

すると、関連がありそうな過去の問い合わせのリンクを返してくれました。

リンクから問い合わせを開いて確認してもいいのですが、今回は「<課題キー>の回答内容を教えてください」と続けて投稿します。

そうすると、チャット上で回答内容を表示してくれました。

つづけて回答を作成します。上記の回答をコピーします。

返信欄にコピペします。今回、グループ名は異なるので修正し、不要な文章を削除します。

Atlassian Intelligence のトーン変更も活用してきれいな文章にして返信!

上記に加えてConfluence ユーザーリストマクロについて補足しようかなという時も、続けて Rovo チャットで質問すれば、回答と参照元が返ってきます。(今回は 連携している Confluence の記事が参照元です)

まとめーワークフロー図で見る3パターンの比較

3パターンの検証結果いかがでしたでしょうか?

それぞれのパターンで何をして回答まで至ったのかを図にしてみました。(Confluence Cloud のホワイトボード機能で描いてます)
□は問い合わせ対応者(人間)の操作、〇はツール(JiraやConfluecneなど)の操作、◇は意思決定(今回は人間が全部判断)を示しています。

こう見ると、Rovo は圧倒的に人間の操作が少ないことがわかりますよね。

(1)手動パターンのワークフロー図

手動パターンのワークフロー図

▲画像をクリックするとポップアップで大画面で表示されます

(2)Atlassian Intelligence パターンのワークフロー図

Atlassian Intelligence パターンのワークフロー図

▲画像をクリックするとポップアップで大画面で表示されます

(3)Rovo パターンのワークフロー図

 Rovo パターンのワークフロー図

▲画像をクリックするとポップアップで大画面で表示されます

今回は問い合わせの回答をする人の視点で比較しましたが、次回はお問合せする人の目線でAI活用した場合とそうでない場合の比較も書いていきたいなと思います。

進化し続ける世の中ですが、5年後10年後にまた私たちが感動するような機能がAtlassian製品につくことを期待しています。
(5年前の私のブログでも最後に同じように進化を楽しみたいと書いてあり驚きました 。

進化した Jira ServiceDesk を見て!(2019/12/20)-リックソフトブログー

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