2016年05月20日
【2016年版】JIRA Software(ジラ・ソフトウェア) vs Redmine(レッドマイン)について酒井 祐輔 Yusuke Sakai
この記事は2016年に執筆されたものです。
最新版の情報として以下記事も併せてお読みください。
【2023年版】Redmine(レッドマイン)VS Jira(ジラ)?
プロジェクト管理ツールを比較したい!-リックソフトブログー
今回はJIRAをご検討いただいているお客様からよくお問い合わせを受ける「JIRA(ジラ)とRedmine(レッドマイン)の違いって何?」について、リックソフトの営業担当の視点から書いてみたいと思います。
まず最初に両ツールの背景について比較してみたいと思います。下記表をご覧ください。
比較項目 | JIRA Software | Redmine |
---|---|---|
出身地 | オーストラリア | フランス |
お名前の由来 | 日本の「ゴジラ」より | 「赤い地雷」(諸説あり) |
お誕生日 | 2002/04/10 | 2006/06/25 |
最新Ver※ | v7.1.6(2016/05/06) | V3.2.2(2016/05/05) |
言語 | Java | Ruby |
元々の用途 | バグ管理システム(BTS) | バグ管理システム(BTS) |
稼働環境 | Webベースアプリ | Webベースアプリ |
ライセンス | 商用(有償) | フリーソフトウェア(無償) |
サポート体制 | 有り | 無し |
拡張性 | 有り(アドオン、別ソフト等) | 有り(プラグイン) |
※2016/5/017現在。最新情報は各リリースノートを参照してください。JIRA Softwareのリリースノート、Redmineのリリースノート
今回JIRAについてはソフトウェア開発向けの機能が揃っている「JIRA Software」を比較対象にしました。
両ツールとも元々はBTS(Bug Tracking System)として使われていたツールでしたが、その使い勝手の良さからITS(Issue Tracking System)として使われるようになりました。
その使い道はソフトウェア開発だけにとどまらず、多種多様な業種でも使われ始めています。(例:自動車業界、保険業界、不動産業界、大学、etc...)
また最近では企業のサービスデスクツールとしての使い方もされています。
Atlassian社は機能アップやお客様からのご要望をいち早く反映させるため、2週に1回くらいの頻度でバージョアップを繰り返しています。
両ツールの背景については元々の用途が同じだったことからほとんど同じですが、大きな違いとしては「ライセンス」の部分と「サポート体制」の部分になるかと思います。
まずは主な機能の比較について下記表をご覧ください。
比較機能 | JIRA Software | Redmine | 備考 |
---|---|---|---|
課題管理 | 標準搭載 | 標準搭載 | 標準搭載機能ではJIRAの方がカスタマイズ性やUIで優れています |
進捗管理 | 標準搭載 | 標準搭載 | ガントチャートについてはRedmineは標準です。JIRAは別アドオンとなります |
ワークフロー設定 | 標準搭載 | 標準搭載 | JIRAは標準でプロジェクト、課題タイプ毎にワークフロー設定が可能です |
権限設定 | 標準搭載 | 標準搭載 | JIRAはプロジェクトだけでなく、課題の粒度でも権限設定が可能です |
Redmineは課題管理、進捗管理、構成管理、情報共有をオールインワンで管理でき、プラグインでさらなる拡張可能です。
一方JIRA Softwareは課題管理は標準で出来ますが、ガントチャート、構成管理、情報共有に関しては別のソフトウェアを導入したり、アドオンを追加する必要があります。
(プラグイン、アドオンとは元のソフトウェアを拡張するためのソフトウェアです。今時で言うとスマートフォンのアプリのようなものですね)
ここだけを見てしまうと、JIRAとRedmineとで搭載機能に差が無いように思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
備考欄にもある通り、JIRA(商用ソフト)とRedmine(フリーソフト)とで細かい部分での機能に差がありますので、課題管理機能を中心により詳細に比較してみたいと思います。
どちらのツールもメイン機能なので当然標準搭載です。画面を見てみましょう。
JIRAはUI周りがお客様からも好評で、ダッシュボード機能を使うことにより、「見たい」または「見せたい」情報を簡単に作成することができます。
また、課題にはコメントも残せますし、ステータスの変更履歴などが残りますので、後からトレースすることが容易です。
もう一つ人気のある機能としてはスクラム機能とカンバン表示があります。作業を行った際に課題をドラッグ&ドロップで簡単にステータス変更し、進捗状況も把握できます。
ここでは進捗管理の一つの方法としてガントチャート機能について見てみましょう。
※JIRAでは非標準搭載なので、別途「WBSガントチャート」というアドオンを導入する必要があります。
Redmineは標準でガントチャートを搭載していますが、ガントチャートからスケジュールの修正は出来ません。Redmineの課題内容から修正する必要があります。
対してJIRAは別途アドオンが必要にはなりますが、ガントチャート上からのスケジュール変更が可能です。さらにガントチャートをExcelに出力できる機能もあり、客先などへの提出用にも最適です。
課題管理において重要な機能の一つワークフローについて違いを見てみましょう。
ワークフローについては両ツールで設定が可能です。
Redmineは画像の通り、現在あるステータスがどのステータスに変更可能かというシンプルな設定が可能になっています。
対してJIRAはワークフロー図を見ながら変更が可能でより複雑なワークフローを形成することも可能です。
決定的な違いとしては、JIRAならワークフローはプロジェクト毎、課題タイプ毎に設定でき、同じプロジェクト内でも課題タイプによりワークフローを変えられる点です。
多くのプロジェクトを運用されているお客様では、同じ課題タイプでもワークフローの使い分けができるので便利だと喜ばれています。
課題管理においてもう一つ重要な機能として権限設定があります。その違いについても見てみましょう。
権限設定についても両ツールで設定が可能です。
Redmineはロール毎に権限を設定し、プロジェクトのメンバー追加時にロールを割り当てます。
JIRAの権限設定もロールを作成して管理しますが、Redmineより細かい粒度で設定が可能です。たとえばプロジェクト毎だけでなく、一つの課題に対しても権限を設定できます。
またJIRAの特長としてスキームという概念があり、ある権限スキームを作ると、次回からその権限スキームを再利用できるので、次々にプロジェクトを作成するときに便利です。
JIRAとRedmineではそれぞれアドオンやプラグインを入れて拡張することができます。具体的にその操作について見てみましょう。
JIRAにはアドオンを管理する画面があり、アドオンのインストール・アンインストール、アップデート有無の表示等を行えます。
対してRedmineはそういった画面は存在せず、コマンドラインからの操作が必要になります。
管理者としてはどのアドオンでアップデートが必要か確認でき、ワンタッチでアップデートできる方が喜ばしいと思います。
ツールの背景でも見ていただいた通り、ツールが担う役割はほとんど同じですが、各種機能を見比べるとそれぞれに特徴があることがわかります。
Redmineはオールインワンで最初からITSとして必要な機能が揃っており、小規模なチームでの運用には向いていますが、各機能は標準機能だとやや物足りないことが多いです。
一方、JIRA Softwareは数多くの導入実績を基に改良を加え続けているため、小規模から大規模な運用でも様々な使い方が可能です。
課題管理ツールの導入を検討される際には、チームや企業としてどういった管理が必要かを鑑みてツールを選んでいただければと思います。
また、ここまでの比較では両ツールともほぼ標準機能を基に比較しましたが、それぞれ専用にカスタマイズしてしまえば何でも出来てしまいます。
ただし、その場合は誰がカスタマイズやそのメンテナンスを行うのかが重要になります。
今回は機能面を中心に比較しましたが、もう一つ重要な比較ポイントとして、サポート体制もあると思います。
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