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リックソフトブログ

2013/09/01

ITS/BTSを進捗管理に使えるのか?

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大貫 浩Hiroshi Ohnuki

大貫 浩

このブログはそのセミナーに刺激されて書きました。

「ウォーターフォールのように長期な計画を前提としている場合、進捗管理はWBS/ガントチャートでやるべき」であり、BTSを利用するのは危険

実際のプロジェクト管理では、進捗管理ならMSプロジェクト、課題管理ならJIRAのように、複数のツールを使い分けているでしょう。しかし、「1つのツールでプロジェクトに関する情報をまとめて管理したい」という声はソフトウェア開発ツールの営業をやっていると非常に多く聞きます。

この声に応えるため弊社では課題管理ツールであるJIRAにWBSガントチャート機能を追加するアドオン製品「WBSガントチャート for JIRA(以下、WBSガント)」を開発しました。WBSガントは何を助けてくれるのでしょうか?

JIRAとプロジェクト管理

プロジェクト管理に必要な知識やプロセスはPMBOKに整理されていますが、その中から最も重要なプロジェクト管理は何か?と聞かれたら、私は進捗管理と課題管理の2つと答えます。

これらの重要な2つの管理作業はJIRAとWBSガントを使って以下のように行うことができます。表中のreport_problemは管理業務とツールがミスマッチするところ、check_circleは管理業務とツールがうまくマッチするところです。

管理作業 JIRAの使い方と注意点 WBSガントの使い方と注意点
進捗管理 report_problem
JIRA標準機能でプロジェクト全体進捗を把握することは厳しい。

check_circle
まず、WBSとして成果物やWORKを階層的に詳細化し、日程と依存関係を設定し、ベースライン計画を作成します。

進捗管理

プロジェクト開始から終了まで、プロジェクト状況を把握し、プロジェクト目的を達成できるように計画を調整していきます。

進捗管理

課題管理

check_circle
プロジェクト目的の達成を阻害するような課題、問題、リスク、バグ等をJIRAの課題として起票します。

このJIRA課題をプロジェクト内で共有し、早期解決と状況把握を可能にします。

report_problem
プロジェクト運営中に発生する課題、問題、リスク、バグ等の1件1件は計画されているものではないので、WBSガントの管理対象にすべきでない。

WBSガントはMSプロジェクトの進捗管理のように、マウス操作によるガントバー操作やベースラインを使った予実管理などの機能を提供します。

パラダイムシフトとタスクボードによる進捗管理

以下は2009年の資料ですが、プロジェクトのWaterfall型とAgile型の違いを良く表しています。

従来のシステム構築プロジェクトでは、Requirmentの達成がプロジェクト目的になり、その目的に必要な要員と期間が見積もられました。その見積もりから、要員と期間の計画を立てて、その計画通りにプロジェクトを進めることが最も大切なこととされました。PMBOKでも「計画」が最も重要視されていました。

パラダイムシフトとタスクボードによる進捗管理

しかし近年は過去にはなかったイノベーティブなものを生み出す戦略的なプロジェクト、短期間で完成すべきプロジェクト、素早いビジネススピードの中にあるプロジェクトが増えており、ビジネス価値の最大化を模索しながらプロジェクトを運営するスタイル、アジャイル型のプロジェクトが増えてきました。このようなプロジェクトでは「計画」よりプロジェクトが生み出す「ビジネス価値」が重要視されます。プロジェクトが生み出した「ビジネス価値」は定期的に評価され、その評価のタイミングで作業の優先順位が大きく変化します。先々まで計画を立てても無意味になってしまいます。

このようなアジャイル型のプロジェクトでも生産性を上げるため、以下のようなプラクティスが編み出されてきたのだと思います。

  • 作業に関する情報をチケットに記載し、作業順番や担当者を入れ替えしやすくする。
  • 打合せは最少にして、動作するシステム開発を優先する。ただし朝会でコミュニケーションは確保する。
  • 権限移譲を進め、自律的な組織にする。
  • 作業状況は以下のようなタスクボードで見える化する。
    (次回の評価までの期間が短い場合、そのタスクボードが短期間の進捗管理に使えます)

JIRAにはJIRA Agile(旧名:GreenHopper)というJIRAのアドオン製品があり、上記のようなアジャイル型のプロジェクトを支えます。

パラダイムシフトとタスクボードによる進捗管理

最後に

「ITS/BTSを進捗管理に使えるのか?」についてですが、私は以下のように考えます。

  • 従来のウォーターフォール型のプロジェクトの場合、ITS/BTSにWBガントのような進捗管理機能がアドオンされれば、進捗管理は可能。
  • アジャイル型のプロジェクトの場合、短期間の作業状況が分かれば良いので、ITS/BTSにJIRA Agileのようなタスクボードの見える化機能がアドオンされれば、それが進捗管理の役割を果たす。
  • ITS/BTS単体の機能だけでは、ウォーターフォール型にしろアジャイル型にしろプロジェクトの進捗管理は厳しい。

そして、現実世界では1つの組織の中で複数のプロジェクトが同時並行で運営されています。1つ1つを見るとウォーターフォール型、アジャイル型、そしてどちらの要素も持つ中間の型のプロジェクトがあります。JIRAなら以下のようにそのプロジェクトの型でも、運用側でツールをうまく使い分ければ、1つのツールで運用することが可能になるでしょう。

プロジェクトの型 JIRA JIRA Agile WEBガント 備考
ウォーターフォール型 課題管理 進捗管理

いまだに日本では一番多いと思われる。
稟議書に記載する「投資対効果」や「計画」と合わせやすい。

アジャイル型 課題管理 進捗管理

意思決定者にアジャイル型のメリットが理解されていないと、稟議が通しにくい。

どちらの要素も持つ中間の型 課題管理 進捗管理 進捗管理

長期の進捗管理はWBSガント。
短期の進捗管理や一部のチームはJIRA Agile。というハイブリットな管理

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