2023.09.21更新日:2023.11.24
「容量不足」「コストや管理運用負担の増加」「中身が整理されていない」「フォルダやファイル名の命名ルールがバラバラ」「データ抽出に時間がかかるとの不満があふれている」などのお悩みを抱える企業のファイルサーバ管理担当者・保守担当者の方は多いでしょう。このようなお悩みの解消手段として、近年では業務効率化のためファイルサーバをクラウドへ移行する企業が増えています。本ページでは移行を検討するタイミングや移行のポイントを解説します。
多くの企業が日常業務でデータの保存・ファイル共有に使用するファイルサーバ。規模が大きい・社歴が長い企業ほど、社内にサーバルームを置いているのではないでしょうか。
総務省の調査によると、2021年時点で何らかの用途でクラウドサービスを利用している企業は7割に上り、ファイル保管・データ共有のクラウドサービスを利用する企業も6割を超えます。(※)データ管理は今や、クラウドを使うのが主流になりつつあるといえます。
いざ自社ファイルサーバをクラウドへ移行するとしても、そのタイミングにお悩みの管理者もいらっしゃるでしょう。ファイルサーバ移行をするおすすめのタイミングを紹介します。
※参照:総務省.「令和3年通信利用動向調査報告書(企業編)」P.7.
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202100_002.pdf (2023年3月23日)
ファイルサーバのOSのサポート期限やハードウェアの保守契約期間が終了するときは、移行におすすめのタイミングです。サポートが終了したOSを使い続けると深刻なセキュリティリスクにつながる上、古いハードウェアではパフォーマンスや生産性が低下します。OSやハードウェアを更新する前に、クラウドサービスへの移行を検討すると良いでしょう。
サポート期間中であってもサーバのOSやハードウェアが古いままだと、「アクセス速度が遅い」「検索や大容量データの移動に時間がかかる」など、業務の効率を阻害する要因となり得ます。
最新のOSやハードウェアであれば、高度化するサイバー攻撃に対するセキュリティも強化され、パフォーマンスの向上を図れます。他のクラウドサービスと連携する機能を提供しているクラウドファイルサーバを選べば、さらに生産性を向上させることも可能です。
ファイルサーバの容量不足は多くの企業が直面する問題です。文書の電子化、動画などによるデータの肥大化、重複データの保有、経年の使用による不要なファイルの蓄積などが容量不足の要因として挙げられますが、応急処置としてストレージを増設しても抜本的な解決とはなりません。
ストレージ機器の導入や設置にコストが掛かるだけでなく、バックアップの必要性が生じるため、維持管理のコストや手間も増えてしまいます。
近年テレワークが進み、モバイルアクセスやオフィス外からのアクセスは必須条件になっていますが、それに対応したストレージごとにアクセス権限の設定やセキュリティ対策も欠かせません。
ファイルサーバを自社管理のオンプレミス型からクラウドサービスへ移行すると、機器の導入や設置のコストが削減でき、管理負担も軽減できます。容量の追加が容易でセキュリティ対策が施されている点もメリットです。
ファイルサーバを社内で運用している場合、担当者が管理すべき内容は多岐にわたります。OS更新やセキュリティパッチの適用、フォルダ・ファイルへのアクセス権限の設定などのセキュリティ対策、ユーザー管理、BCP対策として定期的なバックアップなどの業務を日常的に行う必要があります。
またハードウェアが老朽化した場合はその代替を検討しなくてはいけません。さらには部署ごとにフォルダ体系やファイル名の付け方がバラバラで検索しにくいという問題もあるでしょう。
管理業務が増えたりリソースが不足したりして、担当者がファイルサーバの運用・管理をしきれないと感じるような際は、ファイルサーバのクラウドへの移行を検討すべきです。
ファイルサーバを移行する方法として「自社で移行する」「移行サービスを利用する」の2つを解説します。それぞれに特徴があるので自社の環境や人材に当てはめて比較し、適切な方法を選択しましょう。
ファイルサーバ移行の知識を持つ担当者が社内に居れば、自社で移行できます。自社での移行なら低コストで行うことができ、移行の要件に急な変更があっても柔軟に対応できるでしょう。デメリットは、担当者のスキルや人数が十分でない場合に膨大な時間を要してしまったり、現在のファイルサーバ環境を正確に移行できなかったりする可能性がある点です。
事業者による移行サービスを利用するメリットは、社内の人手をかけずに移行が行える点です。専門業者は移行手順やタイミング、影響を受けるシステムやユーザーの特定、テスト計画といった全体的な計画を立案し安全かつ正確な移行を実施できますが、その分費用は掛かるので、効果と合わせて検討する必要があります。
移行するデータには企業の機密情報も含まれるので、移行サービスを利用する際は信頼できる事業者を選ぶようにしましょう。
ファイルサーバ移行時は、経営に関わる情報や機密情報などさまざまな重要データを取り扱うため、細心の注意を払う必要があります。データ消失などのミスを防ぐためにも、手順に沿って安全に移行を進めてください。
先述の通りサーバ移行のサービスを活用する場合は、セキュリティ面なども含めて信頼できる事業者選びが必要です。ここではファイルサーバをクラウドへ移行する際の注意すべきポイントを解説します。
ファイルサーバ移行中の障害に備えるため、移行の前にはデータのバックアップを取る必要があります。移行中にデータ破損が発生するとファイルサーバのデータ全体に影響が及ぶ可能性があるためです。バックアップデータを正常にリストアできるかも確認しておきましょう。
移行するデータ量が多いほど、移行には時間がかかります。業務に支障を来さないためにも、移行の際はデータに優先順位をつけ、業務に必要となる重要なデータから段階的に移行させます。すぐに移行させる必要のない優先度の低いデータであれば、日を分けて後で実施しても良いでしょう。
データの移行中は転送速度を監視しておき、サーバに負荷がかかり過ぎていないかチェックしながら進めましょう。サーバに過度な負荷が掛かると余計な時間がかかり、データの破損にもつながります。大容量ファイルを転送する際は分割したり、逆に負荷に余裕のあるときは転送量を増やしたりして負荷のバランスを調整すると、移行をスムーズに進められるでしょう。
ファイルサーバ移行の際は一時的にデータを使用できなくなる可能性があるので、スケジュールを社内で共有するなど、混乱を避けるための対処が必要です。移行後のファイルへのアクセス方法やショートカットなどに変更がある場合も、事前に社内に通知すると良いです。
また、多くのユーザーはよく閲覧・利用するファイルのショートカットファイルを使って作業しています。データ移行により、そのショートカットファイルが無効になる旨も事前に伝えましょう。
これまでファイルの管理ルールが社内でバラバラだった場合は、ファイルサーバ移行の機会にルールを策定しておきましょう。具体的には以下のようなルールがあると、管理しやすくなるはずです。
また部署ごとにアクセス権を適切に設定し、「誰がどのフォルダ・ファイルにどのような操作ができるか」を明確にしておくことも、データの漏えいや改ざん、紛失を防ぐためには重要です。
ファイルサーバ以外の情報共有の選択肢として、ドキュメント管理・ナレッジ管理のツールがあります。
Confluenceは、ファイルサーバーと同様に階層管理ができます。ファイルではなく、ページを作成します。
ページ内にWord,Excelなどのファイルを配置したり、リンクを配置したりできます。
ユーザーの管理、ユーザーやグループでの権限管理もできるので、共有する情報、見せてはいけない情報などに権限管理も簡単にできます。
ある医療機関では、「ITリテラシーの低いチームでも導入できた」というユーザーにとって使いやすいインターフェイスで浸透しました。
ここまでファイルサーバの管理とクラウドに移行するタイミングや手順を解説しました。
Ricksoftでは、さまざまな業務効率アップに役立つツールを提供しています。現状のファイルサーバの管理に限界を感じ、なんとかしたいとお考えの方は、ぜひRicksoftにご相談ください。