2023.09.21更新日:2024.01.05
市場や顧客ニーズが目まぐるしく変化する中、企業は変化や課題に素早く対応していくことが必要です。経営者の勘や経験といった主観のみで企業方針を決めていく方法とは異なり、社内外から集めたデータを活用して経営判断や意思決定をしていく「データドリブン経営」という方法が注目を集めています。本ページでは、データドリブン経営の概要やメリット、実現に向けた手順を詳しく解説するとともに、有効なITツールも併せてご紹介します。
データドリブン経営とは、明確な定義がなされているわけではありませんが、「収集・蓄積データを分析した後、それを基に経営戦略や方針を定め、業績の強化を図る経営方法」を指します。元々約10年以上前から、売上や顧客データに基づいて意思決定をする「データドリブン(Data Driven)」という手法がありました。その手法が経営判断を行う際にも応用できるとして取り入れられたのが「データドリブン経営」の始まりです。近年ではデータに基づいて解決すべき課題解決の施策や意思決定をする「データドリブン行政」を銘打つ自治体も登場しています。
注目されるようになった主な背景には、消費者の価値観や行動が変化し、多様化・複雑化していることが挙げられます。インターネットの普及やSNS利用者の増加に伴い、顧客が場所や時間に左右されることなく口コミなどの情報を閲覧・投稿できるようになったため、従来のニーズが変化してきたのです。その結果、企業にとってはこれまでと同じ手法でニーズの高いサービスを提供していくことが困難となり、データを活用して消費者の価値観や行動を分析し、柔軟に対応していけるような経営が求められる時代となっています。
次に、データドリブン経営がもたらす4つのメリットをご紹介します。
データドリブン経営を行うメリットとしてまず1つ目に、客観的なデータを用いた意思決定や経営判断が可能になることが挙げられます。従来の企業風土では経営者の勘や経験を根拠に経営を行ってきましたが、デジタル化が進む現代では周りに理解されづらく、透明性の低さから通用しなくなってきているのが現状です。さまざまなデータを活用し客観的な意思決定が可能になることで周りからの納得が得やすくなり、誤った判断を防ぐことができます。
またリアルタイムのデータを基に判断するため、変化をスピーディにつかめたり、素早く意思決定を行えたりするのも特長です。データを取り扱うためのツールもあるので、それらを活用することでデータを見える化しながら経営を行えるでしょう。
2つ目は顧客ニーズやインサイトの理解を深められることです。売上個数や閲覧回数など蓄積されたデータを視覚的に捉えて分析すれば、これまで気が付かなかったような新たな消費者の要望を発見できる可能性があります。SNSや口コミなどから、店頭では直接聞けないリアルな意見を抽出することで、自社の製品やサービス改善にも役立てられます。また消費者自身も気が付いていないような潜在的な心理への理解を深められるのも特長です。
「モノ」だけではなく「価値」を創造することが求められる現代社会において、データを活用しながら行うデータドリブン経営は、精度の高い需要予測や傾向を導き出すための有効な手段となるでしょう。
3つ目はサービスの強みや課題点などの自社分析を行えることです。やはり経営者の主観だけでは根拠を裏付けるデータがなく、強みや課題を提示しても明確とは言えないため適切に分析を行うことができません。データを通して数値を読み取ることができれば、強みを活かす方法や課題を改善する方法など、日々データを集計しながら細かく分析できるようになるはずです。
またデータドリブン経営では、蓄積したデータをもとに新たな気付きが得られる場合もあります。重要視されていなかった指標が顧客ニーズとの関連性が高いということに気付けたり、新規サービスを立ち上げる際のきっかけとなったりする可能性もあります。
4つ目は「デジタル化に伴う生産性の向上」です。例えばデータ収集のために導入されたデジタル技術によって場所や時間に捉われないテレワークができるようになるなど、より効率的な働き方の実現が期待できます。
また生産性が上がれば、おのずと収益性も向上するでしょう。デジタル化によるコスト削減や顧客ニーズに合ったサービス展開による収益性の向上も見込めます。このようにデータドリブン経営は、企業全体に有益な効果をもたらす可能性を持ち合わせているのです。
上記ではデータを活用して行うデータドリブン経営のメリットについて解説してきましたが、どのようにすれば実現できるのか、ステップを知りたい方もいらっしゃると思います。ここではデータドリブン経営を推進するための手順をご紹介します。
まず行うのは経営判断を行うためにはどのようなデータをどういった目的で活用していくのかを定義することです。
ターゲットやデータの優先順位など一つ一つ項目を整理し、今後の事業計画に必要なデータを定義します。
上記に加えてデータの活用基盤を整備するのも重要です。
データを見やすいように整理した「DWH(データウェアハウス)」やデータを格納する「データレイク」、データを管理する「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」など、大量のデータを扱う際に適した整備システムが存在します。
データドリブン経営を推進するためには、データの連携をするためのツールも必要です。以前から運用しているオンプレミス環境と新しく導入したクラウド環境が混在している場合、そういった連携ツールを使用すればもともとの自社データと新規データを統合することが可能です。
またデータを活用したいと思っても社内にデータが散在し、システムや部署同士で連携がとれていない状態では、効率的にデータを分析することができません。そういった「データのサイロ化」を解消するのにもデータ連携ツールが役立つでしょう。
データの収集ができたら次は蓄積したデータを分析し、経営判断に役立つ要素を見つける作業を行います。データ分析を行う際は達成したい目的に応じて分析を行いましょう。
効率的にデータ分析を行いたい方には分析ツールが欠かせません。BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールなど分析に特化したものはもちろん、さまざまなツールの中にはデータ連携ツールに分析機能が備わっているようなものもあります。ツールを活用してデータ分析を行う際は、自社に合ったものを検討の上導入しましょう。
データ分析をした後は、分析結果をもとにした経営方針や意思決定を社内に周知する必要があります。これまで経営者の主観で経営を行っていた場合、社内全体にこれまでのやり方が定着してしまいなかなか抜けないこともあるでしょう。データドリブンの考えを取り入れた経営方針や成功事例などを社内に積極的に共有し、企業全体でデータドリブン経営に取り組む文化を形成していくことが重要です。
またデータ分析やデータドリブン経営はあくまで手段であり、社内に浸透させて業績強化を図ることが目的なのでその点に注意して取り組みましょう。
これまでデータドリブン経営の概要やメリット、推進するための手順について解説してきました。蓄積データを収集・分析・加工し経営に役立てられるBIツールは、特別な専門知識がなくても使用できるよう配慮されているものも多いです。
中でも「Tableau(タブロー)」はユーザーが使いやすいようなUI/UX設計となっており、見た目も分かりやすく操作が快適です。また分析作業を属人化させないため、担当者以外への引き継ぎが行いやすいなどの特長もあります。その他データ加工、分析、レポート作成の工数を削減できる点も魅力です。経営判断や意思決定に関わる管理者、責任者の方は、データ分析ツールを活用したデータドリブン経営を行う際にぜひご検討ください。