2023.08.31更新日:2024.02.22
レガシーシステムとは、新たな技術の登場によって相対的に古くなってしまったITコンピューターシステムのことを指します。新技術との比較で判断されるため、具体的な年数などの明確な定義はありませんが、昨今ではさまざまな企業がレガシーシステムを最新の製品や設計に置き換える取り組み「モダナイゼーション」に取り組んでいます。
本ページではレガシーシステムのモダナイゼーションについて、よく比較されるマイグレーションとの違いや代表的な手法をご紹介します。
レガシー(Legacy)とは遺産という意味を言葉ですが、ITの分野ではネガティブなニュアンスがあります。
新たな技術の登場によって相対的に古くなってしまったシステムをレガシーシステムといいます。「採用して〇年経ったからレガシーである」などと定義づけはできません。あくまでその分野で新しいものが出ていた場合はレガシーという位置づけになり、相対的なものになります。
生成AIをはじめ様々な技術がビジネスの場で実用化するまでのスパンが短くなっています。業界によりますが、システムやアプリがレガシー化するまでのスピードも以前と比べて早くなっています。
モダナイゼーションとは、古くなったITコンピューターシステム(ハードウェアやOSなどのソフトウェア)を、最新技術を投入した製品や設計に置き換えることです。
正式名称は「ITモダナイゼーション」や「システムモダナイゼーション」などですが、省略して「モダナイゼーション」と呼ぶことが多いです。
モダナイゼーションと似た意味を持つ言葉に、マイグレーション(移行)があります。
マイグレーションとは、ハードウェアやソフトウェアといったITコンピューターシステムやデータなどを、新たな環境に乗せ換えることを指す言葉です。
必ずしもレガシーシステムを対象とするわけではなく、「アプリケーションの移行」「ストレージの移行」「データベースの移行」「BPM(ビジネスプロセス管理)の移行」などを行います。移行前と後で、機能や要件などを変える必要がない場合に適している方法です。
一方モダナイゼーションは、多くの場合稼働スピードの向上や業務効率化、セキュリティ向上などを目的として、性能向上や新機能の追加を伴います。家として例えるなら、マイグレーションは「建て替え」、モダナイゼーションは「リフォーム」という認識になるでしょう。
モダナイゼーション | 古くなったITコンピューターシステム(ハードウェアやOSなどのソフトウェア)を、最新技術を投入した製品や設計に置き換えることです |
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マイグレーション | ハードウェアやソフトウェアといったITコンピューターシステムやデータなどを、新たな環境に乗せ換えることを指す言葉 |
モダナイゼーションには「リインターフェース」「リビルド」「リライト」「リホスト」など多数の手法があります。手法を選ぶ際は、企業の課題やかかるコスト・時間・影響範囲を見極めて企業にあったものを選ぶことが重要です。
例えば社内にIT人材やDX人材が不足している場合は、専門知識が少なくても操作しやすいノーコード・ローコードツールを採用するなどの選択肢が考えられます。
ここでは代表的な手法を4つご紹介します。
リインターフェースとは新たなブラウザやスマートフォンなどのデバイスに古いインターフェースを対応させるため、システム間をつなぐソフトウェア(ミドルウェア)を活用し、レガシーシステムのインターフェースを改善する手法です。ソフトウェアやWebサービスをつなぐAPI連携や、システム間でデータ連携を行うiPaaS(アイパース)の利用などもリインターフェースの一つです。
リインターフェースは、現行システムの機能には手を加えずに使い勝手を向上させられる点にメリットがありますが、インターフェース自体に変更が生じた際は、合わせてシステムの一部を変更する必要性が出てきます。
リビルドとはレガシーシステムの要件を基本とし、レガシーシステムに蓄積したデータを活用できる形に新しいシステムを再構築する手法です。対してリプレースでは新なシステムのパッケージを導入し、レガシーシステムから乗り換えます。
どちらもシステム全体に手を加える「マイグレーション的手法」ですが、リビルドの場合は新たな技術を取り入れ、自社に適した形にカスタマイズ可能です。その分プロジェクトは長期にわたるケースも多く、費用も嵩みやすいという特徴があります。リプレースの場合は、パッケージの内容で十分なら比較的安価に導入できますが、不足する機能が出てきた際などはその機能を追加する開発時間や費用がかかる可能性があります。
リライトとはレガシーシステムの仕様は変更せずに、COBOL言語など古いプログラム言語から、モダンなプログラム言語への書き換えを行う手法です。
メリットとして既存のシステムを活用できるので、コストや手間があまりかかりません。またシステムの仕様に大きな変化がないので、使い手が不都合を感じることも少ないです。しかし別の言語に置き換える際に、既存のシステムがどのような設計になっているのかを洗い出す作業は必要になります。システム設計に関わった担当者が退職済でブラックボックス化してしまった...ということになる前に行う必要があります。
リファクターとはレガシーシステムで使っている機能は変更せず、設計を整理し、プログラムを最適化させることで内部構造を現在の状況に対応できるようにする手法です。
メリットとして無駄なソースコードの読み込みをなくし、コード内容を整理して誰でも分かりやすいように刷新することができます。一方コードの不具合をなくしたり機能を追加したりといった作業は含まれないため、コード内容がレガシー化して欠陥が増えている場合には適した手法とは言えません。
リライト・リファクターはどちらもシステムの一部に手を加える手法なため、レガシーシステムを生かしたモダナイゼーションとなります。
リホストとは、稼働しているシステムのプログラムはそのままに、ハードウェアのみを取り替える手法です。
メリットとして移行対象が絞られているためコストを抑えることができ、かつ、既存のシステムをそのまま使えるため、業務プロセスを見直す手間がかかりません。
一方で過去のシステムを継続使用することになるので、最新の技術を活用したシステムとの連携は難しいという課題があります。このことからリホストは、独立したシステムでの採用が有効と言えるでしょう。
BPRとは「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」の略称です。「リエンジニアリング」とは、業務・組織・戦略を根本的に再構築することを指します。つまりBPRとは、企業の目標を達成するために、企業活動や組織構造、業務フローを再構築する手法です。
メリットとしては組織ごと取り組みを行うため、部署の垣根を超えた課題解決につながる可能性が高いことが挙げられます。またBPRのフローには業務の見直しを行うステップがあるため、業務の可視化を行うことで必要性の低い業務を廃止し、生産性の向上なども見込めるでしょう。一方では、企業全体で行うので労力や時間が大幅にかかるといった課題や、一度始めてしまうと中断できないなどのデメリットも存在します。
ここまでモダナイゼーションのさまざまな手法と課題についてご紹介してきました。レガシーシステムのモダナイゼーションを進めるにあたって、システム統合のリインターフェースを実現するためにiPaaSとしておすすめするのが「Workato」です。
「Workato」を利用すると、レガシーシステムとクラウドの連携や業務自動化によって、次のようなことが実現できします。
「Workato」と併せて導入するツールとしておすすめするのが「Slack」です。
Ricksoftでは「Slack導入支援」も行っており、目的と組織の構造、ビジネスプロセスなどを考慮した上で、「Slack」の正しい使い方と活用方法を習得できます。Workatoの持つWorkbotの機能には主に以下のような機能があり、「Slack」活用を最大化することができます。
「Workato」と「Slack」を併せて導入することによって「Slack」をチャットツールとしてだけでなく、業務プラットフォームとしてお使いいただくことが可能です。
本ページでは、モダナイゼーションの要点やモダナイゼーションを行う方法、「Workato」と「Slack」に焦点を置いた使い方についてご紹介しました。RickSoftの「Warkato」でレガシーシステムのモダナイゼーション行いたい、また「Workato」と「Slack」を同時に導入して、「Slackの導入支援」を受けたいなどお考えの方は、ぜひRicksoftにご相談ください。現在の状況や解決したい課題を伺った上で、それぞれのお客様に適したモダナイゼーションの方法をご提案いたします。