2023.08.31更新日:2024.02.22
DX推進が背景にある中、既存のレガシーシステムから脱却し新しいシステムへの移行を検討している企業が増えています。本ページでは、レガシーシステムが抱えるリスクや新しいシステムとの連携方法について解説します。システム統合を支援するツールについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
レガシーシステムとは、現在主流でない技術や仕組み、言語を用いて過去に構築されたシステムのことを指します。具体的には1980年代以降多くの企業に導入された、メインフレームやそれを小型化したオフコン(オフィスコンピューター)で稼働するシステムなどが該当します。会社が40年以上ある企業は、企業規模にかかわらずレガシーシステムがあると認識してよいでしょう。
2024年現在多くの企業がIT技術を活用して、顧客や社会のニーズに合わせた製品やサービス、ビジネスモデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。最先端技術はAPIなどを通じて既存のアプリケーション同士で連携できるようになっていますが、レガシーシステムはクラウドとの連携やデータの活用といった現行技術への適応が難しいためDX推進の足かせとなっているのです。
そのため、企業はレガシーシステムの資産を活かしつつ、最新技術と適合するようシステム基盤を置き換えていくモダナイゼーションが求められています。
経済産業省が発表した「DXレポート」では、レガシーシステムの老朽化などの理由により日本では2025年以降年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があるとし、「2025年の崖」として警鐘をならしています。(※)
そもそもレガシーシステムの課題とはどのようなものがあるのでしょうか。
※出典:経済産業省「DXレポート」(簡易版) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf(2023年2月9日)
IT技術の進歩に伴い新しいシステムが開発されても、レガシーシステムは古い技術を用いて構築されているため互換性が低く、新しい技術との連携が難しいケースが見受けられます。
AIの登場やテレワークの普及といった社会の変化に伴い、システムやワークフローも、業務内容の変更に合わせてアップデートを重ねていく必要があります。しかしレガシーシステムは仕様が古いため臨機応変にアップデートができず、職場環境に必要な要件を満たせないことが多いです。
このような場合、取引先のシステムと互換性がないなど、ビジネスの機会損失が発生するかもしれません。
レガシーシステムは数十年前に開発され、長期間にわたり仕様変更やアップデートを重ねているため、特定の人しかシステムの全容を把握していない属人的な状態になっている場合が多いです。システムを扱える人材の高齢化や定年退職が近い将来起こりうる企業は、深刻な問題を避けられません。
またレガシーシステムで稼働するアプリケーションは現在あまり使用されない古いプログラミング言語(例:1959年に開発されたCOBOL)によって構築されている場合が多いです。それらの言語を使用して開発を行うことのできる人材を確保するのが年々難しくなっている点も課題として挙げられます。
このような理由から、現行のレガシーシステムを維持していくことはますます困難になっていくでしょう。
レガシーシステムで使用されているOSやソフトウェア、ハードウェアは近い将来ベンダーのサポートが打ち切られたり、あるいはすでにサポート期限が終了していたりすることも考えられます。
その場合セキュリティ上必要なアップデートを適用できず、サイバー攻撃によるデータの漏洩などセキュリティリスクを抱えることになります。またシステムを運用できる人材が減っていくと、システムの破損を恐れ、アップデートが利用できても適用しないなどの事例に繋がる可能性があるため注意が必要です。
レガシーシステムのメーカーのサポート期限が終了している場合、システムを保守していくためにはサービスを提供しているベンダーと高額の契約を結ばなくてはなりません。システムにトラブルが発生した際は原因調査や修復のために人手やコストがかかることになります。
経済産業省の「DXレポート」によると、国内企業のIT関連費用の8割は現行ビジネスやシステムの維持費に割り当てられているというデータもあり、IT関連予算を新しい技術の採用や成長に向けたDX推進に振り分けられていないことがうかがえます。(※)
※出典:経済産業省「DXレポート」(簡易版) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf(2023年2月9日)
ここまで見てきたようにレガシーシステムを放置しておくと、近い将来さまざまな課題点が浮き彫りになってくることが予想されます。
人材不足やコストの問題でレガシーシステムを全面的に変更・解体するのが難しい場合は、新しいシステムと連携させることが望ましいです。代表的な2つの方法を解説します。
API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアの機能の一部を公開して他のソフトウェアやアプリケーションとの共有や連携を可能にするものです。
APIを公開することにより外部のアプリケーションやソフトウェアから、データを自分のアプリケーションに組み込むことができるようになります。公開されているAPIを組み合わせ、自分の求める機能を持つAPIの開発も可能です。機能ごとに開発されたAPIは、パーツを組み合わせるようにして後から再利用もできます。
一般にAPIを開発するには専門的な知識の習得をしなければならないため開発は長期間にわたりますが、現在では必要な機能を持つAPIをノーコードやローコードで短期間に開発することができるツールも存在します。これによりレガシーシステムのソースコードには手を加えることなく、外部の最新システムからAPIを介してレガシーシステムを呼び出し、データや機能を活用することが可能になります。ただし開発するAPIの本数が増えればコストや工数も増大するため注意が必要です。
レガシーシステムの資産を活かしつつDXを進める手法として、SaaSやiPaaSの活用が挙げられます。
SaaS(Software as a Service)とはソフトウェアの機能を提供するクラウドサービスとしてです。共有カレンダーから、給与管理・勤怠システム、プロジェクト管理ツール、グループウェアなどさまざまなSaaSを導入済みの企業が多いと思います。
iPaaS(integration Platform as a Service)とはクラウド上やオンプレミス(自社内)など複数の環境にあるシステムやアプリケーションを連携させ統合された運用を可能にすることで、クラウドサービススイートなどとも呼ばれます。
SaaSやiPaaSはサービスがインターネット上にあるので、パソコン、モバイル端末などクライアント側の形態を問わず接続が可能になります。これによりテレワークでも業務を行えるようになるのがメリットの一つです。またシステムがクラウド上に存在し常時アップデートされるため、メインフレームのような古いハードウェアの保守業務からも解放されるでしょう。
SaaSやiPaaSのようなクラウド上のサービスであれば、最新の技術で開発されたソフトウェアを容易に利用することができ、自前でサーバーなどのハードウェアを用意する必要がないため初期費用を抑えることが可能です。iPaaSはさまざまな定型業務の自動化機能が備わっており、短時間でレガシーシステムと統合することができます。
レガシーシステムのデータを活用しつつこれらのサービスを利用する場合は、クラウドとオンプレミスの両方に対応し同期ができるものを選ぶことがポイントとなります。
ここまでレガシーシステムの課題と、新しいシステムと連携させる際のポイントについて見てきました。効率的なシステム統合を実現するには、自社の環境に適したツールを選択するのが良いでしょう。そこでおすすめするのが「Workato」です。「Workato」はiPaaSとして次のような特長を持ち、レガシーシステムとクラウドの連携や業務自動化を実現します。
クラウド環境とレガシーシステムとのデータ連携をお考えの際は、ぜひ「Workato」の導入支援を行っているRicksoftへご相談ください。