2023.07.31更新日:2023.12.01
問い合わせ管理において「窓口が増えて大変」「対応漏れが発生した」「対応履歴が見つからない」などの悩みを抱えたことはありませんか?または、問い合わせをする側にも「誰に問い合わせをしていいかわからない」「相談した人に"これはうちの部門では対応できません"と言われ、たらいまわしにされてしまった」などの経験があり、結果的に組織全体の業務効率が低下してしまっていることがあります。こうした全ての悩みを解決に導くのが問い合わせ管理システムです。
自社に合ったシステムを選択し、問い合わせのワークフローを設計すればヘルプデスク部門の工数削減、対応品質の向上などさまざまなメリットが実現できるでしょう。本ページでは問い合わせ管理システムの主な機能、導入するメリット、選ぶ際のポイントについてご紹介します。
問い合わせ管理システムとは社内外からの問い合わせを一元管理するためのシステムです。昨今、問い合わせは専用フォームや電話、メール、Webサイト、チャットツールやSNSなども含むようになり、顧客とのコミュニュケーションの多様化が進んでいます。こうしたさまざまなチャネルからの情報を一元管理することで、業務効率や対応品質、顧客満足度の向上を実現する狙いがあります。
問い合わせ管理システムは大きく分けて「マルチチャネル型」「Eメール特化型」の2種類に分けられ、いずれもクラウドツール(SaaS)として導入することが一般的です。それぞれの詳細は以下の通りです。
種類 | 詳細 |
---|---|
マルチチャネル型 | 電話やメール、Webサイト、Slack・Microsoft Teamsなどのチャットツール、LINE・Instagram・TwitterといったSNSなどさまざまなチャネルからの情報を一元管理するシステム |
Eメール特化型 | メールでの問い合わせに特化しておりコンタクトセンター部門向けの管理機能が充実したシステム |
問い合わせ管理システムの主な機能には「問い合わせを受ける」「対応状況を共有する」「対応した結果を記録する」「記録したデータを分析・活用する」といった4つが挙げられます。それぞれ順にご紹介します。
一般的な問い合わせ管理システムでは、電話やメール、Webサイトなど多岐に渡るチャネルからの問い合わせ情報を一元管理できます。また組織内のIT部門をはじめ、人事、法務、営業やマーケティングなどのビジネス部門への問い合わせを一括管理できるものもあります。
問い合わせ管理システムの使用により対応状況を組織内へリアルタイムで共有できます。【一次対応中】【解決済】など対応ステップをワークフローとして設定することができ、関係者は現在のステータスを確認し、タイムリーで的確な対応をすることが可能です。
これにより「対応漏れ」「二重対応」などのミスを防ぎ、回答までのリードタイムを削減できるとともに顧客満足度の向上につなげることができます。
問い合わせ管理システムを導入すると、対応履歴を時系列で細かく記録し、関係者が誰でも見やすく振り返ることができます。
Excelにおける問い合わせ管理表への記録と比較して「入力画面が使いやすい」「対応履歴が振り返りやすい」「大量のデータを受け入れ可能」などのメリットが挙げられます。問い合わせを管理する上で大きな工数が生じる記録業務の効率化と生産性の向上が実現できます。
上記で紹介した基本的な機能に加えて、受けた問い合わせの情報を記録し、蓄積したデータを分析、活用できる問い合わせ管理システムもあります。
大量に蓄積された貴重なデータをボタン一つで表やグラフとして見える化し、ボトルネックとなっている箇所の特定や対応上の課題を把握し、業務の改善に活用することで、社員満足度の向上や顧客満足度の向上を図れます。そして「解約防止」や「クレームの再発防止」などにもつなげられるでしょう。システムによってはこのデータをマーケティングの領域まで広げて活用できるものもあります。
問い合わせ管理システムを導入することで、問い合わせ情報の一元管理だけではなく、「対応漏れの防止」「対応工数の削減」「属人化の防止」などさまざまなメリットがあります。ここでは代表的な4つのメリットを順にご紹介します。
問い合わせ管理における「対応漏れ」の課題は多くの企業が抱えています。問い合わせ管理システムを導入すると、それぞれの問い合わせへの対応状況がステータス管理されるため、「未対応」が放置されることはありません。
またワークフロー設定ができれば、個々のステータスに合わせて対応するという至ってシンプルで分かりやすい仕組みとなり、さらにミスが起こりづらくなります。フローの可視化によってスムーズな対応が実現されることから、回答までのリードタイムが削減され、顧客満足度の向上にもつながります。
問い合わせ管理では管理者(マネージャー)と担当者(オペレーター)の2つの視点でさまざまな工数が発生します。問い合わせ管理システムを導入することで主に下記のようなタスクの工数を削減することが可能です。
視点 | タスクの工数削減内容 |
---|---|
管理者(マネージャー) | 作業割り当ての自動化、仕組化(タスク管理) 豊富なレポート機能で手間なく状況把握 |
担当者(オペレーター) | ワークフロー管理により進捗状況の把握が即時可能 テンプレート機能(顧客応対文章の作成など) メッセージの自動送信 |
管理者はタスク管理や現場状況把握、特定の業務が属人化していないか・メンバーに業務の偏りがないかの確認といったマネジメント業務にかかる時間を削減でき、担当者は対応業務自体の効率化を図れます。
問い合わせ管理システムでは、対応履歴の共有やナレッジベースの活用などにより「担当者によって対応が違う」という状況を避け、一定水準の対応品質を保てるようになります。
システムによっては、初回応答から解決までの目標時間を設定し、優先順位を明確にしながら対応できるを搭載しています。人手を介することによる遅延や対応ミスなどのリスクが潜んでいる業務をシステム化することで、非属人的で迅速な対応が可能になります。
問い合わせ管理システムに蓄積されたデータは対応品質の向上のみならず、サービスの改善などさまざまな場面で有効活用することができます。問い合わせ内容をデータベース化し、性別・年齢・地域などの属性や利用サービス・契約形態などのカテゴリーを設定しておくことで、必要に応じて条件に該当する情報を抽出できるようになるでしょう。
例えば、A製品のXXに関する問い合わせが多いということや、ある季節になると**地方からの不具合が相次ぐなどといった情報が蓄積されるとします。これらの貴重な情報を分析・活用することで、問い合わせとそのほかの要因との因果関係を特定し、サービスの改善や新たな商品の開発、隠れたニーズの発見やエラー防止策立案につながります。
問い合わせ管理システムを選ぶ際の主なポイントには、「必要な機能が搭載されているか」「問い合わせをする人にとって操作性(UI/UX)が良いか」「セキュリティ対策は十分か」「契約期間は問題ないか」「サポート体制は整っているか」の5つが挙げられます。それぞれ順に確認していきます。
まずは導入目的を明確にし、検討している問い合わせ管理システムに必要な機能が搭載されているか確認をしましょう。基本機能については自社の現状の管理方法から洗い出し、照らし合わせる必要があります。基本機能を確認する主なポイントは以下の通りです。
基本機能 | 内容 |
---|---|
対応しているチャネル | 自社の問い合わせチャネルへの対応可否 例)電話、メール、Webサイト、チャットツール(Slack, Microsoft Teamsなど) |
組織内の担当者への振り分け機能 | 自動振り分け機能 主な条件設定(タスク管理、階層、通知など) |
メール管理 | メール対応状況の確認機能 その他付随機能(自動化、テンプレートなど) |
取得(計測)データの変更 | データの変更、抽出の可否 範囲の指定条件(時間軸、属性、カテゴリなど) |
操作性(UI/UX)はシステム運用を成功させる上で重要な観点です。問い合わせ管理のように入力や確認といった使用頻度が高いシステムこそ、現場が直感的に使いやすくなくてはなりません。操作性(UI/UX)の良いシステムを選ぶには、以下のようなポイントをチェックしておきましょう。
選ぶポイント | 内容 |
---|---|
直感的な操作性 | 専門的な知識を有することなく直感的な操作が可能か |
対応デバイス | 問い合わせをする現場の人の環境を配慮しているか。 屋外・商業施設など、問い合わせをする方の環境にあったタブレット端末やスマートフォンなどのデバイスから問い合わせができるか。 |
API連携できるか | 他システムとの連携が可能か |
問い合わせ管理システムは顧客情報を中心とする機密情報を取り扱うため、セキュリティ対策が十分かどうかを慎重に見極める必要があります。最低限のチェック項目としては下記の要件が挙げられます。
問い合わせ管理システムの契約期間はほとんどの場合、各サービスが最低利用期間を定めており、「1カ月単位」から「年単位」のものまでさまざまな基準が設けられています。中には最低契約期間が設けられていないサービスもあるので、導入の際は契約期間を確認するようにしましょう。
柔軟に設計可能なワークフローやステータス設定、FAQ、自己解決機能、自動化機能など、さまざまな機能があるというものでも、いざ実環境に実装させようとしたらうまく動かない・設定どおりに動作しないということもあります。このため、ツールが持つ本来の価値を最大限生かせるよう、初期設定から伴走できるカスタマーサポートやカスタマーサクセスが充実しているサービスがおすすめです。
特にクラウドサービスは次々と新しい機能がロールアウトされたり、既存機能のUIが変わったりするので、常に最新の情報をキャッチする必要があります。新しい機能が告知されたときに、相談できるサービス担当者や代理店がいると心強いでしょう。
ここまで問い合わせ管理システムの主な機能、導入するメリット、選ぶ際のポイントを説明してきましたが、皆様ご理解いただけましたでしょうか。
問い合わせ管理に取り組みたいが、実際どのように管理を行えばよいのかわからない。そういった経営者の皆様・管理責任者の皆様のお悩みを解決するのがJira Service Managementです。Jira Service Managementには、社外からの顧客のみならず、社内からの問い合わせに対しても、本ページでご紹介したメリットを得られる機能がそろっています。3エージェント(問い合わせを受ける担当者数)までならフリーでの利用が可能。さらに人数が多い場合でも無料でトライアルができますので、ぜひ使用感や操作感を確認してみてください。
本日ご紹介した「問い合わせ管理」は、インシデント管理や問題管理などを含めた、さらに統合的に管理できる「サービスデスク」製品でカバーしています。Jira Service Managementは、ITILに沿ったITSMを実現できる統合ソリューションソフトウェアです。組織内サービスの拡大・拡張を考慮したトータルソリューションとしてご検討されることをお勧めします。
【監修】
リックソフト株式会社 プリセールス担当
阿部真紀子