2024.01.12更新日:2024.05.10
IT分野におけるアセット管理とは、企業や組織が保有するPCやソフトウェア、ライセンスなどの「IT資産」を管理する取り組みです。
この記事では、IT分野におけるアセット管理の目的や管理方法、管理ツールについて解説します。自社でのアセット管理を見直したい方や、基本的なアセット管理の考え方を知りたい方はぜひ参考にしてください。
IT資産管理はITAM(IT Asset Management:ITアセットマネジメント)とも言われており、企業や組織が保有するIT資産の数や利用状況を可視化し、管理するための体系的な取り組みです。「アセット」という言葉には「資産」や「財産」といった意味があります。
ここで言うIT「資産」とは、パソコンやサーバといったハードウェアのほか、CRM・ERPといった基幹システムやオフィスソフトなどのソフトウェア、各種ライセンスが含まれます。
ITAMは、これらのIT資産を計上、デプロイ、維持、アップグレード、維持、破棄までのプロセスを追跡します。利用状況のモニタリング、及びメンテナンス計画の策定などを含みます。
前提として、IT資産は使用期限があります。サポート期限切れ・ライセンス期限切れのソフトウェアや端末を使い続けると様々なリスクをはらみます。
企業の持つIT資産が複雑化した2024年現在、このITAMの取り組みは、会社の持つIT資産全体の価値を最大化し、コストを削減することに貢献するプロセスとして注目されています。
世界規格であるITIL 4において、ITアセット管理はサービス運用の根幹として位置付けられています。「サービス管理プラクティクス」としてその必要性が強調されています。ITインフラの健全性を保ちつつ、組織全体の効率と生産性を向上させるためには、きちんとしたITアセット管理は欠かせないといえるでしょう。
IT分野におけるアセット管理の根本的な目的は、組織にとって価値のあるIT資源を保護し、資産のパフォーマンスを最大化することです。
ここではその目的に基づいて、具体的な観点を3つ説明します。
1つ目は、セキュリティ対策を強化し、サイバー攻撃や情報漏洩などのセキュリティリスクを軽減することです。
以下のことが実現できます。
2つ目はソフトウェアの利用状況を管理することで、企業として不正行動や契約違反等を防ぐことです。
以下のことが実現できます。
3つ目は資産の有効活用による経費削減です。これには、使用されていない機器を社内の適正な利用者に再配備することによるリソースの有効活用・生産性向上や、社内で保有している資産を把握することによる余剰資産の購入回避に伴うコスト削減が含まれまれ、効果的なIT投資につながります。
IT資産の適切な管理は会計上も不可欠です。例えば10万円以上のPCなどIT資産については、製品のライフサイクルを適切に把握・管理し、購入後の法定耐用年数に従って減価償却処理する必要があります。
購入年度や購入金額・使用用途といった情報を適切に管理することは、会計手続きの正確性を保証し、想定以上の課税を回避する上でも非常に重要となります。
アセット管理の対象となる「IT資産」は大きく3つのカテゴリに分けられます。
ここではその3つのカテゴリについて、簡単に説明します。
物理的なIT資産 | 直接手で触れることができる実際のデバイスやハードウェア機器 |
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情報的なIT資産 (デジタルアセット) |
ソフトウェアやデータなど 非物理的ながら企業運営に不可欠なデジタルリソース |
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ライセンスにまつわるIT資産 | 製品やサービスの使用権に関するもので、 これにはソフトウェアのライセンスの他、 クラウドストレージやオンラインサービスの利用権も含まれます。 |
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2024年現在、アセット管理を実施する方法は、企業規模によってさまざまです。インターネット上で、WordやExcelで資産管理台帳のテンプレートを無料でダウンロードでできるため、ドキュメントベースで管理する企業も多いでしょう。また資産管理の一つとして経理部門が担当しているケースもあるでしょう。
しかし現在、IT資産は複雑化しているため、より効率的な管理を実現するIT資産管理ツールが登場しています。従業員が100人以上で、従業員用スマートフォンやデバイスなど複数の機器を管理している組織であれば、ドキュメントベースの管理から専門管理ツールを利用すると、業務効率化だけでなく資産効率化につなげられます。
ここからはIT資産の種類に応じた管理方法について解説します。
物理的なIT資産の管理では、「どの部署で、誰が、どの資産を利用しているのか」について管理します。
特に、資産管理台帳に登録されていない資産(シャドーIT)があった場合、実態を把握していないところでセキュリティリスクが高まるため、全ての資産を正確に登録・管理することが大切です。
< 資産管理台帳の記載項目例 >
情報的なIT資産では、ソフトウェアのインストール情報や運用データを管理します。これらを可視化することで、社内で使われているソフトウェア体系の最適化にも繋げることができます。
資産管理台帳には主に下記の内容を記載します。
< 資産管理台帳の記載項目例 >
ライセンスにまつわるIT資産では、対応するハードウェアやソフトウェアの関連性を含めた管理を行います。ライセンスのうち特に認証情報が流出してしまうと、そのサービスが利用できなくなる可能性もあります。
管理を行う上では紛失・流出時の対応も含めた社内ルールを整えることも大切です。
< 資産管理台帳の記載項目例 >
2024年現在、IT資産は複雑化しているため、より効率的な管理を実現するIT資産管理ツールが数多登場しています。リックソフトは、Atlassian(アトラシアン)社の「Jira Service Management(ジラ・サービスマネジメント)」の企業向け導入支援を行っております。
「Jira Service Management(ジラ・サービスマネジメント)」は、ITIL4に準拠しており、Premiumプラン・Enterpriseプランをご利用のチームは企業のアセット機能がございます。
製品の特徴
Jira Service Managementはサービスリクエスト管理、インシデント管理、変更管理、そしてナレッジマネジメントといった幅広いITサービスマネジメントにも対応しており、これらの機能をシームレスに連携することで、IT運用の更なる効率化にも繋げることができます。
Jira Service Management(マネジメント) | 製品 | リックソフト
さらに、2023年1月のAtlassian Cloudの新機能アップデートによって、Jira Service Managementのフォーム機能がアセットと直接連携できるようになりました。
これにより、例えば社員がPCの貸出申請を行うと同時に、その申請に基づいた利用情報を資産管理台帳に登録するといった連携が可能になります。業務の効率化はもちろん、エラーの削減やプロセスの透明性向上にも大きく寄与する機能と言えるでしょう。
IT環境が複雑化する社会において、アセットの詳細な追跡と管理は企業にとって避けては通れない道です。リックソフトでは、この「Jira Service Management」の導入実績も豊富にあり、ヘルプデスク等を含めた手厚いサポート体制にて社内ITアセット管理の高度化をサポートできます。社内のITアセット管理に課題を感じている場合は、是非お気軽にご相談してみてください。
管理ツールを導入し、効率よくITアセット管理を推進していきましょう!