「スポーツ界のマネジメントこそ
Jira Softwareが最適」
タスク管理の効率化により
たった2ヶ月のオフシーズン内での契約処理を完遂
楽天ヴィッセル神戸株式会社
楽天ヴィッセル神戸株式会社は、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟するサッカーチーム「ヴィッセル神戸」を運営する企業。ヴィッセル神戸の活動を支えているのは160を超えるスポンサーであり、それらスポンサー先との関係性を築き、契約を結んでいくのが同社営業部の重要なタスクとなっている。そんな契約管理だが、たった2カ月しかないオフシーズンですべての更新、契約を完遂しなければならないため、営業総動員で処理にあたっていた。そこで、契約管理を効率化するために導入されたのが「Jira Software」だ。その運用方法や使い勝手について、同社営業部メンバーに話を聞いた。
プロサッカーチームのヴィッセル神戸は、兵庫県神戸市をホームタウンとし、2022年シーズンは明治安田生命J1リーグに所属。ヴィッセルの英表記「VISSEL」は「VICTORY(勝利)」と「VESSEL(船)」から生まれた造語であり、国際港湾都市・神戸をイメージさせるのと同時に、神戸市民の夢を乗せて勝利に挑戦し続けるという思いが込められている。その運営を担う楽天ヴィッセル神戸は、興行の企画・実施、サッカースクールの運営並びにサッカー選手および指導者の技術指導、各種オリジナルグッズの製造・販売および貸出業務を手がけている。
(取材対象者)
楽天ヴィッセル神戸株式会社 事業本部 営業部 第一営業グループ マネージャー 黒澤 玲央氏
楽天ヴィッセル神戸株式会社 事業本部 営業部 第二営業グループ マネージャー 椋木 聖智氏
楽天ヴィッセル神戸は、楽天グループの傘下であり、Jリーグに加盟するプロサッカーチーム「ヴィッセル神戸」の運営を行う企業だ。ヴィッセル神戸は、2018年5月にはスペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手が移籍したことで大きな話題となり、今や国内外から注目を集めるチームにまで成長。代表経験のある選手が数多く在籍し、2021年シーズンにはクラブ史上最高位となるリーグ3位を獲得。同年にはACL出場権も獲得するなど、日本のサッカー界をけん引する存在として第一線を走り続けている。
ヴィッセル神戸のホームスタジアムであるノエビアスタジアム神戸は、これまで神戸市より委託を受けた他社が管理・運営されていたが、2018年に楽天ヴィッセル神戸がその管理許可を得たことで、クラブチームとスタジアムの両軸での運営が実現。クラブとスタジアムの両運営を並行した体制のもと、日々ユニークな施策を企画・実施し、観客の満足度を高め、ひいては日本のサッカーを盛り上げようとしている。
楽天ヴィッセル神戸では、さまざまな領域においてITを駆使し、運営を行っている。同社 営業部の黒澤氏は、「競技面では、試合における戦術分析や、選手のコンディションやリカバリーの分析などにITを活用しています。事業サイドにおいても、ITを駆使した集客やチケット管理などを行っています」と話す。
例えば、チケット購入に際して楽天IDを活用。これにより、購入者の年齢や性別、居住地などの顧客情報が得られるため、そのデータを基に、重点的に集客活動を行うエリアを設定したり、ターゲット層を見極めたりといったマーケティング活動を行っている。同社 営業部の椋木氏は「デジタルで得たデータを参照して、来場者の多いエリア、少ないエリアを見分けながらポスターを貼って集客を促進するなど、デジタルとアナログを組み合わせた施策を行っています」と話す。
ほかにも、スタジアム内における物品購入では、完全キャッシュレス化を実現。QRコード決済、電子マネー、各種クレジットカードに対応しており、観客の利便性を高めている。
「観客の利便性はもちろんのこと、運営サイドにとってもキャッシュレス化のメリットは大いにあります。従来の現金払いだと、営業終了後の売上金の精算に時間がかかっていたのですが、それが大幅に短縮できました。また、現金の授受がないので、釣り銭の違算の発生を減らすことにも繋がりました。またIT化の推進により、各種物販の売上がリアルタイムで把握できるようになりました。当初はキャッシュレスに不慣れな方もいらっしゃいましたので、当社主導のもと来場者にヴィッセル神戸のオリジナルデザインのEdyカードを配布するなど、キャッシュレス対応への支援も行いました」(椋木氏)
ほかにも、コロナ禍において、ノエビアスタジアム神戸を大規模接種会場として提供するなど、地域貢献にも積極的に取り組んでいる。さらには、楽天モバイルの5Gネットワークを活用し、ARによる統計&リアルタイム追跡データ表示を行ったり、マルチアングル映像による低遅延視聴の実証実験なども行っている。
ヴィッセル神戸には、約160社のスポンサー・パートナーが協賛している。そのスポンサー・パートナーへの対応や新規スポンサー・パートナー獲得のための営業活動を担うのが、事業本部 営業部だ。その他、イベント施策、チケット販売、物販に関わる業務、そして試合当日にはお客様の案内など、運営に関するさまざまな業務を担当している。そんな営業部だが、サッカー界ならではのシーズンオフの短さが原因で、スポンサー・パートナーとの契約更改に大変苦慮していた。
「サッカーのシーズンオフは、12月中旬から翌年2月中旬までと、わずか2か月しかありません。シーズンオフ内にスポンサーとの契約更改を終える必要があるため、連日営業メンバー総動員で対応にあたらなければなりません」(黒澤氏)
契約更改については、営業部の担当者とスポンサー企業の担当者がメールに添付された契約書を確認しながらやりとりを行う。契約書については法務担当者と連携する必要があり、お互いの同意が取れたあとで本承認となり、正式な契約書の製本、押印などが行われて契約成立に至る。
「各スポンサーを担当する営業部員が個々にメールで対応していました。非効率であるのはもちろんですが、契約更改の進捗状況が営業部内でも共有されていなかったり、法務担当者も完璧には把握できていなかったりといった問題も発生していました」(黒澤氏)
スポンサー以外にも、スタジアム運営、物販などに関係する取引先、のべ200社と契約を交わす必要があり、その数も年々増え続けている。そのため、契約更改業務の効率化は急務だった。
スポンサーとの契約管理を効率化すべく、楽天ヴィッセル神戸が導入したのが「Jira Software」だ。Jira Softwareは、楽天グループにおいてすでに使われており、各グループ企業でさまざまに運用されている。楽天ヴィッセル神戸の営業部においては、部内におけるタスク管理を行う主ツールとして採用。これを機に、各担当者が抱える契約更改関連のタスクを共有するとともに、その進捗状況についても共有するという運用方針を取った。一方で、各契約についてフラグを立てて進行状況を共有することで、進捗状況が部内および法務担当者間で把握することが可能となった。
「添付された契約書はJira Softwareから検索することが可能であり、法務担当者からも『チェックが簡単になった』と好評です。また、本契約の締結に際して何らかの齟齬があった場合、これまでは、メールや資料などを見返す必要があったため手間がかかっていました。ですが、Jira Softwareにより各契約の詳細を可視化・管理できるため、差し戻しが格段に減少しました」(黒澤氏)
部内におけるタスク管理以外にも、社内のコミュニケーション基盤としてJira Softwareを活用している。
「Jira Softwareを活用し、営業担当、法務担当がチャット機能でメッセージのやりとりを行っています。情報交換が容易であり、かつシンプルに使えるため、ITリテラシーが高くない社員でも簡単な説明だけで使いこなせるようになりました。Jira Softwareのおかげで社内コミュニケーションが活発化したと思います」(椋木氏)
続けて黒澤氏は、「良くも悪くもスポーツ業界は、選手・スタッフ問わず、人の入れ替わりが激しいところがあります。そのため、担当者がいなくなると、その人に関係する業務がわからなくなってしまいます。しかし、Jira Softwareのチケット(課題)にログを残すことで、タスクごとに情報を共有できます。そのため、担当者が変わっても、過去のやり取りを簡単に確認することができ、すぐ対処できるようになりました。スポーツ界のマネジメントにはJira Softwareがおすすめです。特に、オフシーズンが短いサッカー界は、Jira Softwareとの親和性が高いのではないでしょうか」と評価する。
楽天ヴィッセル神戸のJira Software運用は始まったばかりだが、機能幅を広げることでさらなる業務効率化を目指している。
「Jira Softwareの運用を開始してまだ1シーズンしか経っていないため、まだまだ使いこなせていない機能も多々あります。リックソフトにはさらなる活用のアドバイスをいただきながら、ヴィッセル神戸のスポンサー企業としても協力していただきたいと思っています」(黒澤氏)
スポーツ界では「スポーツテック」として様々なITを活用した取り組みが行われている。楽天ヴィッセル神戸の取り組みからもわかるように、Jira Softwareは、ビジネスシーンだけでなく、局所的にタスクが急増するスポーツ界の契約管理において大きな効果を発揮している。スポーツ界の運営業務を支える存在として、Jira Softwareが広く活用される日もそう遠くはないだろう。
本事例の内容は2022年9月取材時のものです。
本事例に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。