要件定義からシステム開発、保守・運用、
品質管理まで、
幅広い業務でJiraを活用しています。
シンプレクス株式会社
シンプレクス株式会社 金融フロンティア ディビジョン 三橋 七緒 氏、盛田 崇弘 氏に、Jira、WBSガントチャートを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。
シンプレクスは1997年の創業以来、メガバンクや総合証券、大手FX会社を筆頭に、日本を代表する金融機関に向けて、収益業務に特化した金融フロントソリューションを提供しています。金融とITの両方に精通したプロフェッショナルが、コンサルティングからシステム開発、保守・運用に至るまで、一気通貫で支援しています。独自のビジネスモデルを展開することで、世界の金融ITサービス企業ランキング「FinTech Rankings」にも毎年ランクインしています。
(※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)
シンプレクスは、メガバンク、大手証券をはじめとした主要な金融機関向けに、金融商品の取引やリスク管理業務を支援する独自開発の金融ITソリューションを提供しています。
1つは金融機関が自己資金で市場の取引に参加して利益を狙う、ディーリング業務を支援するシステムです。対象ユーザーはプロの資金運用者、銀行・証券会社のディーラーやトレーダーです。彼らは金融工学を駆使して様々な金融商品を取引しており、こうした金融機関の収益の源泉ともいえるディーリング業務をITでサポートしています。
また、ネット証券やFX会社が個人投資家に提供しているトレーディングシステムについても、BtoBtoCの形態で提供しています。なかでもFXトレーディングシステムにおいては業界トップシェアを獲得しており、最近では仮想通貨トレーディングシステムの提供も開始しています。
いずれのシステムにおいても、金融商品の取引システムに求められる高度な耐障害性と信頼性を備えた、安定的なシステム運営が欠かせません。さらに近年では、法制度改正やFintech技術の進歩により、仮想通貨に代表されるように、今までにない新たなシステムをいち早く展開することも求められています。
シンプレクスは、コンサルティングからシステム開発、保守・運用、品質管理に至るまで、全工程を自社内のみで一気通貫して実施しているのですが、その各工程の管理にJiraを活用しているプロジェクトが多くあります。
利用プロジェクトでは主に以下の3つの用途でJiraを活用しています。
主に以下のポイントを評価しています。
システム品質を向上させるためには、プロジェクトの完遂に必要なタスクが全て網羅され、プロジェクト内におけるタスクの進捗状況をプロジェクト・マネージャーが逐次把握できる管理ツールが不可欠です。
JiraプラグインツールであるeasyBIを活用することで、タスク・品質・テストの進捗管理や、メンバー別の工数管理を簡単に実施できるなど、Jira導入における効果を実感しています。
また、保守・運用工程においてシステム上の不具合が発生した場合にも、システム開発工程の全作業に関する5W1H情報がJiraに反映されている状況にあるため、原因究明がしやすく、迅速な不具合対応が可能となっています。
さらに、不具合検出工程および理想検知工程をバグチケットに記載し、これらをeasyBIにてサマリーすることによって、プロジェクト推進の健全性を計測・担保することができています。加えて、想定検出不具合数の推移データを外部より取り込み、並行してJiraチケットから実際の推移データを集計することにより、テストのAsIsとToBeを評価しています。
システム品質を高める上では、エンジニアが開発に全力投球できる環境が必要です。プロジェクト内の開発・運用業務管理ツールとしてJiraを導入することにより、チケットによる情報共有の効率化を図ることで、コミュニケーション負荷の軽減を実現しています。
また、先述の通りコミュニケーションをチケットに集約していることで、結論に至るプロセスを後からいつでも追認・分析・理解することが可能になっています。当社ではチケットの担当者を1名のみ指定しているので、「渡した」「受け取った」といったコミュニケーション上のボールの在処が常に明確になり、有効に作用しています。アサイン以外のチケットについてはメーリングリストに通知され、自分の関わるチケットについては自分宛てに通知されることから、自らのチケットに集中できますし、余裕ができた時に他チケットをフォローしていく、というような対応も可能になっています。
さらに、現在、開発効率の向上に向けて、GitHub EnterpriseやSlackの導入を積極的に進めているのですが、Jiraがいずれのツールとの連携にも優れている点を評価しています。
GitHub Enterpriseの場合、変更履歴がチケットで可視化されているため、事案のプロセスだけでなく変更が生じた場合の意図についても理解ができます。また、変更案件をチケット管理していることでGitHub Enterprise上のコミットと関連づけ、「予定通りの成果物が作成されたか否か」を確認することも可能になりました。
さらに、Slackとシームレスに連携することで、Jiraの更新をリアルタイムで検知できるため、コミュニケーション上のボールを受け取った際に、行動を起こすまでのリードタイムを短縮することも可能になっています。
下記はテスト進捗管理画面の一例です。外部データおよびJiraチケットによって、テスト計画の進捗が視覚的に評価できるようになっています(実線=結果、破線=予定)。
(品質・テスト進捗管理画面の例/JiraプラグインeasyBIにより作成)
下記は工数管理画面の一例です。案件(チケット)毎にかかった時間を計測し、一覧できるため、時間的な停滞についてお互いに確認し、フォローできる体制となっています。
(工数管理画面の例/JiraプラグインeasyBIにより作成)
WBSで課題を階層化して関係を体系的に把握し、同時にガントチャートでプロジェクト全体の進捗状況を把握できるため、当初の計画との差を分析し、作業が遅延している場合はリスケや担当者再割り当てなどのすばやい対応が可能になりました。
また、WBSガントチャートとJiraとが、完全連動している点を評価しています。やはりJiraと一体運用できる点は大きな魅力です。
メンバーが、Jiraで自分の担当分のチケットを更新すると、その内容がWBSガントチャートに反映されるため、WBS ガントチャート上で、チケットの開始日、完了日、プロジェクト全体の計画、作業状況を一目で把握することができます。
プロジェクト・マネージャーが各メンバーに進捗をヒアリングして資料に更新するという作業が不要となるため、本来のコア業務に集中できるようになりました。
Jiraに限らず全てのプロジェクト管理ツールは、あくまでも「道具」にすぎません。使い方を間違えれば、効果は半減すると考えています。
自分たちの品質向上、プロジェクト管理の効率向上をどのように行っていくか、まず、その方針を突き詰めて考えてみることが有効だと思います。そしてJiraを使い続けながら、その方針を磨き続けていく必要があると思います。
シンプレクスは、今後もお客様の期待を上回る、高性能、高品質のツールを開発し続けていきます。Jiraおよびリックソフトにはそうした品質向上の取り組みを、すぐれた製品、技術、提案を通じて後方支援いただくことを希望します。特にPCのみならずモバイル端末からも効果的にJira利用を可能とし、利用環境を限定せず仕事できることを希望しています。今後ともよろしくお願いします。