SBペイメントサービス株式会社様|導入事例

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Jira Software/Jira Service Management/Confluence導入事例 - SBペイメントサービス株式会社様

SBペイメントサービス株式会社

アナログでのインシデント管理プロセスから
脱却すべく、
ITIL準拠のITサービスマネジメントに対応
した基盤を構築


SBペイメントサービス株式会社


SBペイメントサービス株式会社SBペイメントサービス株式会社は、インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理などITIL準拠のITサービスマネジメントに求められるプロセス全般の課題を解決するためにJira Software や Jira Service Management(以下、Jira)とConfluenceを導入。メールベースでの情報共有やExcelに依存した管理からの脱却を目指した。リックソフトが提供するコンサルティングサービスを利用し、アドバイスを受けながらプロセスの見直しを進め、理想的なITサービスマネジメント体制を確立。インシデントの初動対応の迅速化やナレッジの集積、全社的な情報共有などを実現したほか、開発工数や経費の削減、品質の平準化にも寄与した。具体的な取り組みについて、システム本部 システム運用統括部 情報システム課の遠藤 一樹氏と菅野 正亨氏に話を聞いた。

SBペイメントサービスは、6大国際ブランドに対応したクレジットカード決済、QRコード決済や電子マネー決済など多彩な決済手段を提供する、ソフトバンクのグループ企業の決済代行会社。

30種類以上の決済手段、決済サービスにおける取扱高は、いずれも国内トップクラスの水準を誇る。

(取材対象者)
SBペイメントサービス株式会社

背景・課題

アナログベースのインシデント管理 管理プロセスの統一や初動対応の高速化が必要

SBペイメントサービスは、ECやネットショップに欠かせないクレジットカード決済機能を提供する「オンライン決済サービス」、店舗や訪問販売など対面販売でのキャッシュレス決済機能を提供する「店舗向け決済サービス」を中心に事業を展開する、ソフトバンクのグループ企業の決済代行会社。同社の決済サービスは「決済手段30種類以上」「取扱高4兆0,347億円」と、いずれも業界トップクラスの水準を誇っている。

2018年12月にはQRコード決済アプリケーション「S!can(スキャン)」の提供を開始し、日本におけるキャッシュレス化の推進を常にリードする立場にある。一方で、ソフトバンクのグループ企業の金融テクノロジー(FinTech)事業を担う企業としての一面も持っている。

そんなSBペイメントサービスでは、インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理などITサービスマネジメントに求められるプロセス全般に課題を抱えていたという。

「例えば、インシデント管理プロセスはメールベースで運用し、インシデント情報の管理はローカル環境のAccessデータベースで個別に管理するというアナログでの管理でした。障害の検知方法はITサービスによってバラバラであり、障害が確認できた時点で、メールで報告し、障害の評価・検討は対面によるミーティングで行っていました。検討結果や対応状況、影響範囲などの報告もメールで行っていたほか、過去のインシデント対応のナレッジも情報共有できていませんでした。また、障害を検知してから担当者とコンタクトをとってエスカレーションするまでに時間がかかり、初動対応が遅れることも課題でした」(遠藤氏)

さらに問題管理プロセスもアナログベースであり、各システムの課題をExcelのワークシートにまとめていた管理していたという。しかし、そのファイルがどこに保存されているのかは各担当者しか把握しておらず、インシデント管理との紐づけもされていない状況だった。これでは問題管理が十分でなく、課題が宙に浮いたまま残る場合もあったそうだ。このほかにも、問い合わせ・依頼管理プロセス、変更・構成管理プロセスの課題を認識していた。

導入プロセス

メール・Excel運用からの脱却を目指し、インシデント管理情報を一元的に集約する仕組みを構築

このようにITサービスの運用管理プロセス全般に課題を抱えていたSBペイメントサービスでは、既存のプロセスを全面的に見直し、ITIL準拠のフレームワークを取り入れたITサービスマネジメントを実現するための取り組みに着手した。

「ITILに準拠したITサービスマネジメントの実現に向けた取り組みを開始したのは、2015年のことです。まずはITIL準拠のITサービスマネジメントに対応した複数のツールをピックアップして比較検討を行いましたが、システムやアドオンを自前で運用管理しなければならなかったり、機能面で不足していたりと、当社の要件を満たすツールが見つかりませんでした。そうした中、リックソフトが公開している導入事例を閲覧する機会があり、その中に当社の課題と酷似していた事例があったため、良い提案が受けられると考え、リックソフトに相談してみることにしました」(遠藤氏)

SBペイメントサービスはリックソフトに対し、ITIL準拠のITサービスマネジメントに対応したツールの選定から理想的な管理プロセスの実現に向けたツールの使い方までのコンサルティングを依頼。リックソフトから提案されたのが、アトラシアンが提供する「Jira」と「Confluence」の組み合わせだった。

「Jiraは、インシデント管理や問題管理をチケット化しやすく、リマインド機能やサービスデスク機能もあり、ITIL準拠のITサービスマネジメントを実現するのに最適な機能を備えていました。また、ツールの運用が容易な点を高く評価し、導入を決めました」(遠藤氏)

ちなみにConfluenceについては、一部の業務における社内Wikiとしてすでに導入していたが、その用途を拡張してITサービスマネジメントの変更・構成管理プロセスにも利用することにした。

実際にJiraを導入したのは、2016年6月のこと。SBペイメントサービスでは導入作業と並行して運用ルールの策定やマニュアルの整備にも取り組んだ。例えば、インシデント管理プロセスの運用ルールについては、メールによる報告・情報共有をやめ、すでにビジネスチャットツールとして利用しているSlackを利用し、障害の検知から情報共有までをSlackのチャット上で完結するようにした。またシステムのジョブやノードを監視する運用管理ツールから障害発生を通知するメールをJiraへ発報し、Jiraでチケットを自動生成。さらにJiraとSlackとの連携により、インシデント管理の情報を一元的に集約させた。

SBペイメントサービス株式会社様 図1

問題管理プロセスについては、ExcelのワークシートをJiraに置き換え、課題の背景・事象・対応内容などをすべてチケット上に集約。Jiraのインシデント管理とも紐づけた。問い合わせ・依頼管理プロセスについては、Jiraのワークフロー機能を活用して承認からレビューまでJiraで完結できるようにした。変更・構成管理プロセスは、案件ごとのドキュメント類をすべてConfluence上に集約。Jiraのチケットの更新や開発の後続作業を自動化する仕組みを構築した。

導入効果

インシデント対応の迅速化やナレッジの集積、全社的な情報共有などを実現 開発工数や経費の削減、品質の平準化にも寄与

SBペイメントサービスがJiraとConfluenceを導入し、ITIL準拠のITサービスマネジメントに取り組んでからおよそ5年が経過。すでに大半の部門では利用が定着し、様々な導入効果が得られているという。

「インシデント管理プロセスでは、インシデント発生時の情報連携をSlackに集約したことで、すべての関係者が同時に情報共有できるなど、インシデント対応のスピードアップを図ることができました。インシデントの対応状況・影響件数などはJira上にリアルタイムで更新され、ナレッジとして蓄積された過去ログから対応履歴が閲覧できるので、途中から参加したメンバーでもすぐに状況確認が可能になりました」(遠藤氏)

問題管理プロセスにも同様の効果があったという。問題の内容をすべてJiraのチケットで管理し、担当・役職を問わず全員が情報にアクセスできるようにしたことで、チケットを見るだけで問題の進捗状況や担当者がひと目で分かるように。更新内容があればすべてSlackに通知されるので、問題解決の抜け漏れもなくなった。

このような抜け漏れ防止の効果は、問い合わせ・依頼管理プロセスでも得られている。Jiraのワークフロー機能がステータス更新時の内容をSlackを通じて担当者に通知する仕組みになっているからだ。依頼内容がJiraに集約されているので、集計や傾向分析も可能になった。

「変更・構成管理プロセスでは、案件情報をConfluenceに集約したことで、ドキュメントの保存場所やソースコードの修正・変更個所など、これまでブラックボックス化していたものが解消され、開発工数や経費を削減や開発品質の平準化を実現できました」(遠藤氏)

また、大きな導入効果として、従来の“口伝”での情報共有からの脱却、そして部門間での情報共有手法の統一化があるという。

「当社ではJira/Confluenceを全社共通の課題管理・ドキュメントツールとして位置づけています。従来では部門ごとにドキュメント管理の手法やファイル形式がバラバラで、なおかついろいろな場所にファイルが点在化していたため、部門間の情報共有が煩雑になっていました。中には、ファイルを作成せず、口頭で情報共有を行っている部門もありました。そこで、それぞれのファイルで課題を個別管理するのではなく、Jira/Confluenceに集約させるようルール化しました。これにより、課題が出たら、まずはJira/Confluenceにあげるという文化が社内で形成されていき、一子相伝のような非効率な口伝での情報共有から脱却でき、ナレッジとしてインシデントを蓄積できるようになりました。今ではJira/Confluenceなしでの働き方が考えられないくらい、社内では浸透しています」(遠藤氏)

今後の予定

個別のアフターフォローを通して非IT部門のツール利用定着化に尽力 営業部門の高度化を見据えた機能連携強化も検討

こうしてITIL準拠のITサービスマネジメントの実現を果たしたSBペイメントサービスだが、実際には各部門に利用を定着させるまでに苦労も絶えなかったという。

「今回の仕組みにかかわらず新しいシステムを導入したとき、とくに非IT部門ではせっかく導入したのに使いこなせず、結果的に使われなくなるといった場合も多々あります。そこで今回は、各部門に最適化した形で引き渡してからしばらくの間、各部門の担当者に対して困り事がないか、個別にアフターフォローしました。こうしたきめ細かい取り組みを進めることが、定着につながったのだと感じています」(遠藤氏)

とはいえ、現在も一部に導入されていない部門があるという。現在は全社完全導入を目指し、これらの部門に対して積極的に導入を働き掛けているとのことだ。

「もう一つ今後の大きな取り組みとして考えているのが、Salesforce.comなどの他システムとの連携です。営業部門がSalesforce.comで管理しているプロセスの中にも、JiraやConfluenceに情報集約できるものもあるので、将来的には連携の仕組みを構築したいと思っています」(遠藤氏)

最後に菅野氏は、ITサービスマネジメントを実現するべくツールの導入を検討している企業に向けて以下のメッセージを残した。

「先輩ユーザーとしてお伝えしたいのは、『信念を持って社内展開を進めてほしい』ということです。Jira/Confluenceが他社製品と決定的に違う点は、柔軟性だと感じています。しかし、デザインや使い方の自由度が高すぎるゆえに、『どのように使えばいいのかわからない』といった意見が出てくるかもしれません。ですので、導入直後は個別にユーザーをサポートしたり、どのような使い方をしているのかヒアリングしたりと、定着化に向けしっかりとフォローをしてあげることが重要になります。また、ユーザーからの意見をもとにサポート部門も改善を繰り返すなど、アジャイル的な思考で社内展開を進めていくのも大事です。それによって、Jira/Confluenceが社内に浸透し、ゆくゆくは当社のようにITILに準拠した企業文化の醸成も可能になっていきます。まずは、信念を持って導入し、アフターフォローや試行錯誤を繰り返しながらシステムの高度化、ないし定着化を目指してほしいですね」

多くの業界でデータ活用・分析によるデータドリブンな経営が求められる中、その土台作りとして情報共有基盤を構築したSBペイメントサービス。JiraとConfluenceはこれからも、SBペイメントサービスが実践するITサービスマネジメントを支え続けていくことだろう。

本事例の内容は2021年4月取材時のものです。
本事例に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。

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