株式会社インターネットイニシアティブ プロダクト本部 プロダクト開発部 マネジメントサービス課長 齋藤 透氏に、Confluenceを導入した経緯とその導入効果について詳しく聞きました。
日本のインターネットの黎明期から、常に最先端のネットワーク環境を提供し続けてきた株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、国内最大規模のインターネットバックボーンを運用し、官公庁や金融機関をはじめとしたビジネスユーザをはじめ、一部、個人ユーザに対しても、さまざまなインターネットサービスを提供。クラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)」をはじめ、顧客のニーズに合った高品質なサービスを提供し続けると同時に、クラウド、SDN、コンテナ型データセンター、モバイル、ネットワークをはじめとする分野で、新たなイノベーションを促進させている。
一言で言えば、社内の「情報共有ツール」としてConfluenceを活用しています。コンテンツという切り口で見ると、百科事典的なものから、設定ファイルの保管場所、社史に関する情報を編集するコンテンツなどさまざまです。
利用シーンとしては、「開発プロジェクト」、「部署のワークスペース」、「パーソナルスペース」という3つがメインとなります。各利用シーンの詳細は次のとおりです。
ブログの画面例(画像提供:IIJ)
Conflulenceの機能としては、細かく権限管理をすることで、情報公開の範囲を制御することが可能ですが、利用者に対してはむしろ、なるべく制限を付けず、積極的に情報共有してもらうよう呼びかけています。もちろん、機密情報については限られたメンバーのみに参照可能なように制限を行いますが、そういった操作が簡単に行えるのも Confluence の魅力の一つです。
開発プロジェクトにおいて最も良く使われていたのは、メールとPukiWikiの組み合わせです。Wikiを使った情報共有はIIJにおいても長い歴史があり、膨大な数のPukiWikiコンテンツが存在する、という状況でした。
PukiWiki利用時の大きな課題として、以下のような問題点がありました。
特に「情報が探しづらい」点については深刻で、まずは情報を知っている人を探すところから始まる、という始末でした。そのため、複数のプロジェクトで似たような技術を扱っているにも関わらずノウハウが共有されず、IIJ全体として非効率な状況が生まれていたのです。
また、プロジェクトという狭い単位でも、過去の議論がメーリングリストを中心に行われている場合途中から参加したメンバーが情報をキャッチアップするのが難しく、経緯の説明に手間と時間を取られることも少なくありませんでした。
このままでは、会社の規模が大きくなるにつれて増えていく情報がますます分散化し、ノウハウの共有・蓄積が進まないことが危惧されました。そのため、PukiWikiに代わる新たな情報共有、コラボレーションツールの必要性を強く感じました。
はい。実際に Confluence を少人数で試してみて、機能性の高さやコラボレーションツールとしての可能性も含め、充分に使えるものである、と確信はできていました。ただし、実際に導入するとなると現在 PukiWiki に存在するコンテンツや、そもそも使い勝手がまったく異なる点などもあり、トップダウンアプローチによる一括導入は難しいと感じていました。そこで、少しずつ利用者を増やしていくボトムアップアプローチを取ることにしたのです。
Confluenceは、ストック型とフロー型の良いとこ取りで、非定型の知識や経験、業務の流れを蓄積するのにとても優れていると思います。Confluenceを使っていて、特に良いと思う点は次のとおりです。
プロジェクトや部署、個人が発信している情報など、スペースを横断して、コンテンツはもちろん、添付ファイルも含めキーワード検索ができるので、容易に目的とした情報や情報を持っていそうな人を探すことができるようになりました。
これまで利用してきたPukiWikiでは、マークアップ言語を使用しなければなりませんでした。そのため、利用者、特にコンテンツを編集する社員が制限されることもありました。 Confluenceでは、Wordなどを使っている感覚で、コンテンツを見たまま編集できるので、とても便利で、エンジニア以外でも手軽に使えるようになりました。
編集画面のサンプル例
WordやExcel、PowerPoint、PDF、JPEGなど、ファイルの種類を問わず手軽にコンテンツに添付することができます。しかも、画像などの添付ファイルは一般的なコピー&ペースト操作で、簡単に貼り付けられるのがとても便利です。
Gliffyは、ちょっとしたフロー図やイメージ図を作図する際、他のソフトを起動する必要がなく、コンテンツの標準機能のように使えるので便利です。また、Gliffy自体の使い勝手も優れており、複雑なものでも簡単に作図できます。
編集画面のサンプル例
ダッシュボードの機能により、コンテンツを探しに行かなくても、人気の高いコンテンツや最新情報が表示されるので、ダッシュボードを見ているだけでも楽しく、自然と利用を促進できます。
たとえば社内会議の際、事前にアジェンダ用のページをConfluence上に作っておき、参加者に通知(メンション)します。すると、会議が始まってもいないのに、そのページのコメント機能で議論が始まったりするのです。実際の会議の場ではその分、議論がとてもスムーズに進みます。会議の回数および時間を減らすという直接的に大きな導入効果を感じられるシーンです。
今後、アクセスコントロールを厳密に管理していく上で、Active Directoryと連携してIDの権限管理ができるのは大きなメリットです。設定変更の手間を省けるだけでなく、幽霊ユーザなども確実に防ぐことができます。
先ほど導入経緯で紹介したように、一人ぼっちのプロジェクトから始めて、社内の情報を集約する基盤として利用範囲を拡張してきました。今後は、IIJグループ全体をも巻き込み、「情報のるつぼ」にしていくことで、グループ全体としての知識レベル向上や経験・ノウハウのさらなる有効活用を促進していきたいと考えています。さらには、新たな価値を生み出すツールとしても期待しており、Confluenceならそれができると確信しています。
Confluenceの開発元であるアトラシアンの製品開発の思想には共感するところが多く、魅力的な機能やツールを提供してくれるという印象を持っています。今後もプロダクト主導で、私たちユーザが便利だと思う製品やサービスの提供を期待しています。
また、リックソフトに対しては、単なる代理店としてではなく、Confluenceもしくはアトラシアン製品のエキスパートとして大いに期待しています。今回の導入に際しても、その経験と知識は、とても有用でしたし、メーカーが正式に発表していないような、仕様の制限やその回避方法などを教えてもらうなど、とても心強い存在でした。これからも変わらず、スピーディかつレベルの高いサポートを期待しています。
齋藤様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。