従来のグループウェアとECMを見直し、
膨大な技術ドキュメントをAlfresco
プラットホーム上で登録・管理・公開しています
富士フイルム株式会社
医療機器の開発・製造・販売を手がける富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)のメディカルシステム事業部では、数万点以上におよぶ設置・保守に用いられる技術ドキュメントの管理および閲覧環境を十数年ぶりに刷新。Alfresco Content Servicesを導入しました。 同社メディカルシステム事業部 サービスソリューション部 技術マネージャー 田木 正浩氏(写真右)、右山 学氏(写真左)に、経緯とねらいについて詳しく聞きました。
富士フイルムグループの医療事業を担うメディカルシステム事業部では、X線画像診断システムのほか、ITソリューション、内視鏡システム、超音波システム、体外診断システムなどの事業を展開。その中でも、1981年に世界で初めて開発したデジタルX線画像診断システム「富士コンピューテッドラジオグラフィ(FCR)」は、画像診断分野においてデジタル化の先駆けとして知られ、広く全世界へ普及している。
当メディカルシステム事業部が提供している医療機器全般の設置・保守には、国内外で多数のフィールドエンジニアがあたっています。その際に必要となる技術ドキュメント、数万点の発行・管理・公開に、Alfrescoを利用しています。
発行は、新規および改訂ドキュメントをシステムに登録するための承認ワークフロー機能です。
管理は、ドキュメントの保管のほか、バージョン管理やシステムの設定といった管理機能です。
公開は、私たち管理する側から見たときの言い回しで、実際にドキュメントを利用するフィールドエンジニアから見れば、閲覧・検索の機能です。現時点で閲覧はオンラインのみの設定としていますが、今後、オフラインで閲覧できるようにしていく予定です。
主なファイルはPDFですが、そのほかWordやExcelといったデータも利用しています。
Alfrescoは国内と海外とで、それぞれ別システムとして運用しており、導入の経緯も異なります。
国内においては、これまでグループの共通基盤として利用していたグループウェア上にドキュメントを管理する仕組みを構築して、長年利用してきました。しかし、2019年にシステムのサポートが終了してしまうことから、システムの刷新を行わざるを得ない状況でした。
一方、海外においては、ドキュメントを検索する際の使い勝手に対する課題があったことから、改修を考えていたところでした。
このような国内外の状況を踏まえた上で新システムの導入検討を開始し、保守運用の負荷やコストを抑えるためにも、同一の環境で共通化するという結論にいたりました。
次の5つの要件を基本に、新システムを検討しました。
セミナーやインターネットなどで調べて数社の製品に絞り込み、デモも確認した上で採用する製品を決定しました。
Alfrescoの採用を決めたポイントとしては、まず、検索に関する使い勝手が充実しており、大容量のファイルや複数のファイルを取り扱う際のパフォーマンスが優れている点が挙げられます。
実際、検索に関する使い勝手とパフォーマンスに関しては、旧システムで問い合わせや要望が多かった海外の利用者からの評判が高く、スムーズに受け入れてもらえました。
また、ワークフローに関して、ドキュメントが承認プロセスと統合されているので、シンプルでありながら融通の利く承認プロセスが設計できる点を評価しました。
一方、機能以外の面では、クラウドサービス基盤として特に海外における動作実績が豊富なこと。
そして、国内の利用に関しては、リックソフトによるサポートが充実していることから、比較検討した中では私たちの要望に最も近いシステムであると判断しました。
Alfrescoへのサポート対応が迅速かつ丁寧であったこと。JiraやConfluence、Slackなどを活用して富士フイルムとリックソフト間の共同プロジェクト作業を効率化する提案をしてもらえたこと。これらによって導入プロジェクトをスムーズに進めることができると期待しました。
海外の利用者からは、使い勝手に対する評判も良く、スムーズに移行できたことが、私たちにとって一番の成果でした。
国内に関しては、長期間使い慣れたシステムがまるっきり別なものになってしまったこと。そして、PCにデータをすべてダウンロードして使っていたものが、オンラインで使わなければならなくなったこと。さらには、検索方法や検索のコンセプトが変わってしまったことで、導入当初は少し混乱も見られました。
しかし、これまではベテランのエンジニアでなければ目的のドキュメントを見つけられないという属人化も見られましたが、新しいシステムとなり検索性能やパフォーマンスは間違いなく向上しています。慣れてくれば、目的のドキュメントや情報へと迅速にたどり着けるようになると考えています。
フィールドエンジニアのサービスレベルを向上させるため、Alfrescoの機能や能力をより引き出し、ドキュメントの発行・管理・公開という業務の質を高めていかなければなりません。また、ほかのシステムやサービスと連携を図り、より仕事がしやすい環境を実現していくことも見据えています。
たとえば、お客様から機器の不具合に関する連絡が入った際に、コールセンターのシステムとAlfrescoが連携して、作業に必要なドキュメントや情報を提供するといった仕組みです。
まだ構想前の段階ではあり、連携するサービスとの絡みもありますが、AlfrescoはオープンなAPIを提供しているため、サービス間の連携もしやすいと考えていますので、可能な限り早い段階で検討を始めたいと考えています。
今はまだAlfrescoの導入が済んだという段階です。これから活用フェーズへとさらなる使い勝手や機能の向上に関するサポートや提案を、引き続きお願いできればと思います。
また、今後ほかのサービスとの連携に関して、Alfrescoの枠をはみ出たサポートや開発支援にも大いに期待していますので、よろしくお願いいたします。
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
本事例の内容は2019年8月取材時のものです。
本事例に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。