Jira Service Management 導入事例 - 株式会社エアトリ(旧DeNAトラベル)様
エアトリでは、社内サービスデスク業務を
ITIL準拠させるために、
Jira Service Managementを会社で
活用しています。
株式会社エアトリ
株式会社エアトリ IT戦略本部 品質マネジメント部 小林裕美子氏にJira Service Managementを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。
(株式会社エアトリについて)
株式会社エアトリ(旧 DeNAトラベル)は、国内・海外の格安航空券を主事業とするオンライン旅行代理店です。航空券インターネット売上げNo.1(※1)。航空券取扱高1400億円、設立1979年、従業員数284名。
※1 2018年3月時点。国内オンライン旅行代理店における航空券単品販売会社での航空券取扱総額第1位。観光庁平成29年度主要旅行業者の旅行取扱状況粘土総計(速報)(平成29年4月分~平成30年3月分)および各社有価証券報告書・決算説明資料より
(※1 この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています)
Jira Service Managementを全社的に活用
エアトリ(旧DeNAトラベル)ではJira Service Managementをどのように活用していますか。
エアトリではJira Service Managementを、社内サポート業務を効率化するための標準サービスデスクツールとして、全社で活用しています。他部門へのサポート依頼は、必ずJira Service Managementのチケットを通じて依頼します。
Jira Service Managementで管理している社内サポート業務は、大きく次の2種類です。
内容 |
項目 |
備考 |
IT関連の社内サポート |
- 社内ITシステムの使い方に関する問い合わせ
- トラブル解決の依頼
|
一般部門からIT部門へ依頼 |
自社ECサイトに関する社内サポート |
- ECサイトへの情報掲載(修正)の依頼
- ECサイトの利用状況ログの抽出依頼。
- 会員の統計情報の抽出依頼
|
一般部門からECサイト開発・運用部門へ依頼 |
特に重要なのが2つめの「自社ECサイトに関する社内サポート」です。
エアトリの主な事業は、skygate.jp、airtori.jpでの国内・海外航空券のネット販売です。これら2サイトは、お客様にとって「エアトリそのもの」であり、ここに関わる社内サポート業務、サービスデスク業務を的確に管理することは、お客様満足度を高める上でも、きわめて重要です。
導入前の課題(サポートを依頼する側の視点)
以前はサービスデスク業務をどのように運用していたのでしょうか。またどんな課題があったのでしょうか。
以前はフリーのプロジェクト管理ツールを、サービスデスクツールに転用していました。「プロジェクト管理」と「サービスデスク管理」は、チケットを発生させそれに紐づけて仕事を進めるという点では本質的に同じだと考えたからです。
しかしこの運用は、サポートを依頼する側、される側の両方にとって問題がありました。「サポートを依頼する側(一般部門)」にとっての課題感は次の通りです。
- 課題1.「依頼するときに何をどう書いて良いのか不明」
- 従来のツールでは、サポート依頼フォームが「白紙欄への自由記入」でした。このため、「「PCがちょっと調子が悪いのですが…」「マウスが動きません」などあいまいなサポート依頼が頻発していました。
- 課題2.「依頼への対応状況が不明(なしのつぶて?)」
- サポートを依頼した側が、対応の進捗状況(あるいは、そもそも着手されているのかどうか)を、システムを通じて知ることができませんでした。サービスデスク業務の対応状況を、「見える化」する必要がありました。
- 課題3.「対応の優先度が不明(ちぐはぐ?)」
- 多くのサポート依頼の中でも「航空券販売サイトの訂正依頼」などは、顧客満足に直結する業務なので、「優先対応するべき業務」といえます。しかし従来の運用では、対応の優先基準が不明でした。また、対応状況を一般部門がシステム内で目視確認することもできませんでした。
導入前の課題(サポートを依頼される側の視点)
サポートを依頼される側(IT部門、サイト開発運用部門)にとっての課題は?
大きくは次の4点です。
- 課題1.「依頼内容が不明瞭で、対応に困る」
- 「PCがちょっと調子が悪いのですが?」という問い合わせには、対応のしようがありません。結局、メールやりとりで現況ヒアリングを重ねることになります。大きな非効率でした。
- 課題2.「全体状況が把握できない(集計が不十分)」
-
以前のフリーツールでは、サポートデスク業務の全体像、つまり:
- 「どんな問い合わせが、どのぐらい来ているのか?」
- 「全体の中で『未着手』『処理中』『解決』の割合はどうなっているか?」
- 「重要度の高い依頼が優先的に処理されているか」
- 「特定の誰かに業務が集中していないか」
などの情報を定量的に把握することが困難でした。
- 課題3.「業務の割り振りが困難(たらいまわし?)」
- IT部門または開発運用部門のマネージャは、自部門に依頼が来たとき、部内の誰かに割り振る必要があります。しかし従来は割り振りの「基準」が属人的であり、また判断の根拠となる「現況データ」が完備しておらず、そのため「明確な基準、根拠に基づく割り振り」が困難でした。その結果、割り振った先のスタッフから、「これは本当に今やるべき仕事なのか?」「本当にウチが担当するべき仕事なのか」などの不満が発生し、その結果、「たらいまわし」が生じかねない状態でした。
- 課題4.「知識共有がなされていない(同じ事を何度も聞かれる)」
- 当時のシステムではFAQを構築、公開することができず、その結果として「同じような問い合わせが何度も来る」事態に陥っていました。社内の知識共有の仕組みを確立することが急務でした。
社内で討議した結果、これら悪状況の原因は、「サポートデスク業務が、明確な基準なしに運用されていること」であり、「サービスデスクツールを導入し、ITILに基づいて運用するよう改めるべき」という結論に達しました。その後、Jira Service Managementを含む各種製品を比較検討しました。
サービスデスクツールに求めた要件
それら製品を比較検討した際の比較基準を教えてください。
新たに導入するサービスデスクツールに求めた要件は次のとおりです。
- 要件1.「サービスデスク関連のITIL要件への適合」
- ITIL条件すべてを満たしている必要はありませんが、サービスデスク関連の要件については過不足無く満たしていることを求めました。
- 要件2.「ITILに詳しいSE、コンサルタント」
- ただ製品だけ導入しても、現状の自分たちでは、それをITIL準拠する形で使いこなせるとは思えませんでした。ITILに詳しい、経験豊かなSE,コンサルタントのサポートを受けて導入する必要がありました。
- 要件3.「ITILにこだわりすぎていないこと」
- 先ほどの要件と矛盾して聞こえるかもしれませんが、「あまりにもITILを大上段に押し出してくる企業(製品)」は避けたいと思いました。導入前に「ITILのお勉強」が必要になるようでは困ります。そうした学習抜きに、その製品を導入して普通に使えば、それだけでITIL準拠がほぼ実現する、そんな製品を求めました。
- 要件4.「操作が容易であること」
- サービスデスクツールは、全社員にとっての「いつも使いのツール」になります。簡単で使いやすいインターフェイスであることを求めました。
- 要件5.「十分な実績、合理的な価格」
- 安定稼働を裏付ける十分な導入実績を持つ製品であること、そして導入費用が合理的であることを求めました。
以上の要件で各製品を比較したところ、Jira Service Managementが弊社の求める要件を最も良く満たしていたので、これを導入しました。特に要件3の部分について、販売元のリックソフトにITILに詳しいSEがいたことは、大きなプラス要因となりました。
Jira Service Managementへの評価
使ってみて分かったJira Service Managementへの評価を教えてください。
現在、使用を開始してまだ3ヶ月ですが、従来あった課題、問題点については、いずれも「解決(あるいは解決の目処が立った)」という状況に改善されました。
製品の使いやすさも期待以上です。 今回の導入にあたっては、社内向けの導入教育や講習会は特に行っていません。そのかわり、操作画面のショートムービー(1本1分程度)をいくつか作って社内Webに掲載しました。それだけでも社員全員で円滑に使用できており、利用開始から今日まで3ヶ月の間に、チケット処理数は1000件を超えています。
Jira Service Managementの導入により、「社内サービスデスク業務のITIL対応」という当初の目的は十分に達成できたと考えています。
今後の期待
Jira Service Managementおよびリックソフトへの今後の期待をお聞かせください。
エアトリは今後ともお客様に選ばれる旅行代理店、格安航空券販売サイトで有り続けるべく、引き続き業務改善に尽力する所存です。アトラシアンおよびリックソフトにはひきつづき優れた製品、提案、サポートを通じ、エアトリの業務効率化の取り組みを支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。