iPaaS導入で手入力業務の自動化・効率化を推進
内製化を進めて全社的なDXの第一歩を踏み出す
株式会社アイダ設計
1981年設立の大手ハウスメーカーであり、注文住宅や分譲住宅を提供しているアイダ設計。同社では、手入力業務の効率化を目指し、ドリーム・アーツ社製のノーコード開発プラットフォーム「SmartDB® (スマートデービー)」との連携を目的にiPaaS製品である「Workato」を2024年1月に導入した。これにより、作業時間の大幅削減や各種業務の自動化を実現。社内での利便性が向上し、全社的なDX推進に向けて内製化体制の強化にも取り組んでいる。今回のプロジェクトの中心メンバーに、Workatoを導入した理由や導入プロセス、導入後の効果や使い勝手、今後の展開などを聞いた。
アイダ設計は、埼玉県上尾市に本社を構える1981年設立のハウスメーカー。充実の設備、こだわりの自由設計で理想のマイホームを実現するブラーボシリーズをはじめとした「注文住宅」、注文住宅の設計・建築で培った技術力を生かし、高品質でお求めやすい価格で販売を行う「分譲住宅」、そしてイニシャルコストの低減と投下資本回収期間の短縮でオーナーの負担を抑える「賃貸経営」など、幅広く事業を展開している。また、「いい家づくり」をモットーに理想の住まいを提供するべく、常に正直な説明と「正直価格」で顧客に向き合い、心豊かな生活空間を追求し続けている。
自由設計×ローコスト×高品質で提供する「999万円の家」をはじめ、住まいの夢を実現するための選択肢もいくつも提案している
(取材対象者)
総合管理室 部長 情報システム課担当
田谷 友茂氏
総合管理室 情報システム課
筑肱 未幸氏
総合管理室 情報システム課 係長
福田 瑛史氏
アイダ設計は、宮城県から沖縄県までの広範囲にわたって注文住宅および分譲住宅事業を展開し、年間約3,300棟の契約実績を誇っている。設計事務所をルーツに持つ同社の特長は、自社で一貫した管理体制で家づくりを進めることへの強いこだわりにある。土地探しから設計、施工、さらにアフターメンテナンスまでを専門部署が一貫して管理をすることで、住まいの品質を担保するとともに住宅ローンや登記の手続きなどもしっかりとサポートしている。
そんな同社では、業務の効率化とデジタル化を進めるべく、ノーコード開発プラットフォーム「SmartDB®」を導入している。さらなる効率化をおこなうため、レガシーERPおよびSalesforceの連携が必要となったことから、クラウドシステムの統合を図るためにiPaaS(Integration Platform as a Service,定義されたワークフローとイベントをもとにアプリ間の連携を自動化する製品)の採用を検討することとなった。iPaaSとは、様々なクラウドサービスやオンプレミス上のシステム・アプリケーションとの連携および連携処理の自動化を実現するクラウド型統合管理プラットフォームである。システム・アプリケーション間の連携の実現には、各アプリケーションのAPIを利用する。
「クラウドサービスとの連携はAPIを利用すれば対応できるのですが相応の専門知識や開発スキルが問われるため社内のスタッフで行うのは現実的ではありませんでした。だからといって外部のSIerに依頼すればコストも時間もかかってしまいますし、メンテナンスなどのランニングコストも問題となります。特に当社ではスピード感を重視する社風があることから、自社内でスピーディにシステム連携を行うためには、iPaaSが必須であると判断したのです」(田谷氏)
複数のiPaaS製品を比較検討した結果、最終的にアイダ設計が選んだのが、Webブラウザ上からノーコードで開発・運用可能なレシピ型のiPaaS製品「Workato」であった。
「Workatoはリックソフト製のSmartDB® コネクタに加え、標準で用意されているアプリケーションコネクタが1000種類以上と豊富であり、ほとんどのクラウドサービスと連携できることも大きな魅力でした。そして、専門知識がなくても業務に適用でき、内製化が可能であることが決め手となりました」(田谷氏)
また、リックソフトが提供する手厚いサポート体制も選定の重要な要素となった。
「何かあれば丁寧に説明してくれるのでWorkatoへの理解が進み、短期間でのスキル習得に大きく寄与しました。導入支援やレシピ構築支援、そして定着化を目的としたトレーニングなど、内製化の第一歩を踏み出すためのサポートを期待できる頼もしい存在です。また、Workato社と直接契約するとドル建てでの支払いになるのですが、リックソフトを通じての契約であれば日本円での支払いが可能です」(田谷氏)
こうしてアイダ設計では、2024年1月にWorkatoの本稼働を迎えた。
アイダ設計では、Workatoの導入に際して業務を自動化できる権利であるレシピを4つ購入。このうち2つはすでにSalesforceやレガシーERPとの連携に使用されている。
「ERPとの連携では暫定的に一部RPAも使用していますが、WorkatoはRPAとRPAを適切に使い分け、安定したパフォーマンスを発揮することで、業務効率化に寄与しています」(田谷氏)
SalesforceとWorkatoとの連携に際して構築を担当した筑肱氏は次のように話します。
「Web会議を通じて、リックソフトとWorkato社からの手厚いサポートを受けられました。これにより、Salesforceとの連携においてほとんど苦労を感じませんでした。また、直感的なUIのため操作が容易であることも、スムーズな構築につながっています」(筑肱氏)
こうしてアイダ設計では、Workatoを導入することで様々な業務において効率化を実現した。例えば、申請業務においてはWorkatoを活用することで他システムからの転記作業が不要となった。自動転記処理は、Workatoの導入により、コードをひとつ入れるだけで実現できたという。これにより、複数のデータベースを合わせて月1,200件、合計で月間60時間分の業務を削減することができた。さらに、前日のデータを夜間に連携させることで、夜間バッチ処理によるレガシーERPからデータベースへのデータ連携の自動化にも成功した。
「Workatoの魅力は、何と言ってもコネクタの豊富さにあります。これにより、過去にレシピで使用したことのないシステムでも、簡単に構築が可能となっています。また、リックソフトとWorkato社のサポート体制は非常に優れており、新しい機能を開発する際にも迅速に支援してくれます。」(筑肱氏)
Workato導入後、社内からは「業務全体のスピードがあがった」などの声が寄せられている。興味を抱いた他部門の社員から「うちでもWorkatoを使ってみたい」という相談もあるという。
「Workatoの導入により、1つの入力で全てのデータベースと連携できるようになり、重複した作業が大幅に減りました。現場からの『便利』だという声が上がり始め、上層部にも徐々に理解が広がるなど、DXの下地づくりが大きく進んだと感じています」(田谷氏)
今後、アイダ設計では、Workatoのさらなる活用を通じて業務効率化を全社的に進めていく構えだ。
「いま情シス部門では人手が不足しています。そこでリックソフトに相談したところ、Workatoを利用したアカウント管理業務の効率化にもチャレンジすることにしました。これによって削減できた時間やリソースを、新たなWorkatoの開発構築に割くことが可能になるはずです」(筑肱氏)
続けて、さらなる業務効率化に向け、Workatoのスキル習得に励んでいる福田氏は「現在、社内にはオンプレミスのサーバーやデータベースが複数存在しています。それらを統合集約したうえで、Workatoを活用して重複作業のさらなる削減を目指していきたいです。現在、データベースからオンプレミスのデータベースへの接続においては、差分をとって更新しており、ユーザーからエラーの問い合わせもきています。Workatoとの連携でエラーが解消できるようになると期待しています」と話す。
現在、Workatoのスキルを習得した人材は、田谷氏、筑肱氏、福田氏の3人だが、使用頻度が上がるにつれて、各部署に担当者を配置することも検討している。
「何についても、開発をするにはお金がかかるし、依頼先を探さないといけませんでした。しかし、Workatoであれば専門的な知識がなくても内製化が進められるので、コスト削減とニーズに応じた迅速な対応が可能になり、当社にとって大きなメリットをもたらすことでしょう」(田谷氏)
これまでアイダ設計では、別のベンダーにAPI連携の開発を依頼していたが、Workatoを利用することで、その保守料を削減するとともに、自分たちの手で新たなチャレンジができると期待されている。
「リックソフトの手厚いサポートには大いに感謝しています。これからもリックソフトから直接指導を受けることで、新たにWorkato人材を育成し、情シス部門の負荷軽減につながることを期待しています。こうして内製化の体制が整えば、貴重な人的リソースをより生産的な作業へと振り向けることが可能となり、ひいては全社的なDXの推進にもつながることでしょう」(田谷氏)
本事例の内容は2024年7月取材時のものです
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