非効率的な課題管理体制から脱却すべく、
アトラシアン製品を大規模に導入
ITIL準拠のITサービスマネジメントを導入し、
事業拡大に対応するビジネスプロセス改革を実現
SCSKプレッシェンド株式会社
SCSKプレッシェンド株式会社は、ITILに準拠したヘルプデスク/インシデント管理を実現するために、リックソフトが提供するアトラシアンの「Jira Software」「Confluence」「Jira Service Management」をそれぞれ導入。開発・運用プロセスの統制や、顧客企業への定量的な情報提供に、多くの人手や工数を要していた課題を解決し、ITIL準拠のITサービスマネジメントによる効率的なプロジェクト運用が可能になった。システム運用の負荷軽減やインシデント対応の迅速化をスムーズに実現できた理由について、システムも担当しているSCSKプレッシェンド 執行役員 システム担当の市橋 千尋氏に話を聞いた。
SCSKプレッシェンドは2005年、SCSKのグループ会社として設立。 ECサイトの基盤となるSaaSサービス「F.ACE」の提供をはじめ、ECサイトのフルフィルメント業務(ロジスティックス、カスタマーサポート、商品コンテンツ制作など)を含めたワンストップソリューションを提供している。
(取材対象者)
SCSKプレッシェンド株式会社 執行役員 市橋 千尋氏
SCSKプレッシェンドは、SaaS型のECプラットフォーム「F.ACE」を中心に、大企業から中堅・中小企業までECサイトを展開する事業者向けにワンストップソリューションをトータルに提供するサービスインテグレータ。F.ACEは、トレンドに合わせた製品投資・機能拡充を継続的に行える「進化し続けるECプラットフォーム」として、事業者の細かいニーズに合わせたUI/UXの最適化・機能拡張が可能であり、アパレル/ファッションをはじめとする様々な業界で広く利用されている。
また、商品の入荷・保管・出荷など高品質な運用プロセスを実現するロジスティクスサービス、ECサイトの利用者一人ひとりに高いサービスレベルで対応するカスタマーサポート、商品の特性やブランドイメージに合わせた適切なコンテンツを用意する商品コンテンツ制作といったフルフィルメントサービスを含め、ECビジネスを展開する事業者をトータルに支援しているところも大きな特長だ。
このように顧客事業者ごとにきめ細かいサービスを提供するSCSKプレッシェンドだが、これまでは顧客からの問い合わせ管理、障害発生時におけるインシデント管理などITサービスマネジメントに多くの課題を抱えていた。
「当社では従来、タスク管理ツールやExcel、メールなどを利用して問い合わせ管理やインシデント管理を行っていました。しかし、この方法では開発・運用プロセスの統制をとることに人手を要すること。また開発工数・時間を管理する仕組みも別個に存在し、定量的なデータの収集・分析にも多くの時間を要するという課題がありました。これら課題を解決するために、ITILに準拠した課題管理やプロジェクト管理を実現できるITサービスマネジメントの仕組みを導入することにしました」(市橋氏)
さっそくSCSKプレッシェンドでは、ITILに準拠したITサービスマネジメントツールを導入すべく検討作業を開始。インターネットで検索し候補となるソリューションをいくつかピックアップした。その中で同社が注目したのが、アトラシアンの課題管理・プロジェクト管理ツール「Jira Software」だった。
「様々なソリューションを検討する中で、Jira Softwareならば、当社の開発・運用プロセスに合わせて自分たちでカスタマイズできそうだと感じました。そこで、アトラシアン製品の豊富な取り扱い実績があり、手厚いサポートサービスを提供しているパートナー企業のリックソフトに相談することにしました」(市橋氏)
SCSKプレッシェンドから相談を受けたリックソフトは、Jira Softwareと合わせ、顧客事業者とのコミュニケーションプラットフォームとして活用できるコラボレーションツール「Confluence」、およびConfluenceと連携しながらJira Softwareと統合できるITサービスマネジメントツール「Jira Service Management」を提案。アトラシアンツールチェーンとして、アトラシアン製品同士だからできる連携の簡単さや、欲しい情報にすぐに辿り着ける効率の良さをアピールした。その際に、併せてリックソフトが独自に展開するサポートサービスと研修サービスを提案したという。
「Jira Service ManagementがITILプロセス認証の第三者機関の基準に適合しているなど、リックソフトから提案されたアトラシアンのソリューションは、当社が目指すITIL準拠のITサービスマネジメントを実現するものでした。Jiraのフィールド、ワークフローの拡張性、また、豊富なアプリケーション群は、その実現を確信させるものでした。工数管理をJira上に統合したうえで、定量的な情報把握とともに課題仮説の立案/改善のサイクルを早期に進めたい思いがありましたが、Jiraの導入メンバーは、現業との兼任でのため多忙であったため、導入・構築支援、その後の運用サポートも含めた支援サービスの有無も選定の重要なポイントでした」(市橋氏)
こうしてSCSKプレッシェンドでは、リックソフトをベンダーに選定し、アトラシアン製品の導入を決定。2018年7月に正式契約し、約半年間をかけて導入作業やデータ移行を進めた。その間にも様々な苦労があったが、リックソフトの導入・構築支援サービスなどを上手く活用し、サービスのリリースまで進めていったという。
「Jira Softwareは、我々が期待している以上にカスタマイズの自由度が高かったので、導入を通してシステムの内製化が実現できるのではないか考えました。ですが、 “なんでもできるがゆえに、システムの方向性が定まらない”ことが社内で大きな問題となっていました。そこでリックソフトのゴールドサポートを活用し、コンサルを含めサポートを依頼。懇切丁寧なヒアリングをはじめ、リックソフトのエンジニアを交えた週1回の定例ミーティングなどを実施し、導入案をまとめていきました。リックソフトの支援がなければ、スムーズな導入は実現しなかったと思います」(市橋氏)
リックソフトの支援を受けてプロジェクトを進めていたSCSKプレッシェンドでは、まずは2018年12月に一部の顧客事業者向けに提供しているサービスに適用する形で運用を開始した。
「プロジェクト開始当初は、従来使っていたタスク管理サービスから、Jira Service Management / Jira Softwareを使ったインシデント管理・工数管理に完全に切り替えようと考えていました。しかし、すでにお客様において数百名規模で使っている運用中のサービスを全面的に移行することが難しいと判明したため、タスク管理サービスとJira Softwareをリアルタイムに連携させる仕組みを作ることにしました。また、開発・運用プロセスの統制を効かせるワークフローの仕組みも作って運用した結果、ITIL準拠のITサービスマネジメントによる効率的なプロジェクト運用・工数管理が可能になり、当社のサービス運用にかかる負荷の可視化やインシデント対応のスピードアップが図れるといった効果が確認できたため、2020年に全ての顧客サービスプロセスへの導入を決定しました」(市橋氏)
現在、SCSKプレッシェンドでは毎月1000件以上の問い合わせ/課題管理などにJira Softwareを活用している。また、同時に導入したConfluenceは、社内や顧客事業者へのマニュアル、会議議事録、運用ドキュメント類、またJiraと連携した各種管理を格納する場所としてコミュニケーション基盤になっている。一方、Jira Service Managementについては、顧客事業者向けに提供するサービスポータル、およびFAQサイトとして利用しているという。
「アトラシアンのマーケットプレイスには、当社にとって役立つアドオンが多数用意されています。弊社では積極的にアドオンを試して、活用できそうだなと思ったらどんどん導入しています。そうすることで、業務の効率化が進み多くの工数を削減できました。また、自社開発のアプリケーションとも柔軟に連携できる点も評価しています」(市橋氏)
このようにJira SoftwareをはじめとするアトラシアンのソリューションによってITIL準拠のITサービスマネジメントを実現したSCSKプレッシェンドでは、さらに用途を拡大していく取り組みを進めている。
「Jira SoftwareやJira Service Managementを使ったITサービスマネジメントの仕組みは、当社のパートナー企業でも顧客からの問い合わせ管理、インシデント管理に使い始めています。またConfluenceについては、業務に必要なあらゆる情報を蓄積できるコミュニケーション/コラボレーション基盤として、営業部門など他部門での利用を段階的に進めているところです。部門を横断した情報共有、案件管理、タスク管理が進んできており、業務の更なる効率化が進むことに手応えを感じています。」(市橋氏)
さらにSCSKプレッシェンドでは次の取り組みとして、現在のサーバー製品からクラウド製品へのアップデートも検討しているという。
本事例の内容は2021年8月取材時のものです。
本事例に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。